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Evernoteに「挫折」なんて無い

こんにちは、ライフハックや仕事術の方法論を考えるのが好きな おがた です。

昨年参加したイベントでのプレゼンテーション発表の際に、デスクトップをプロジェクターに投影するテストを行っていたときにEvernoteのウィンドウが映って、イベントの終了後に「Evernote使っているんですね」と話しかけられました。

それこそ世の中の「ライフハック」のサイトやブログには「Evernoteはこう使う」「Evernoteにあらゆる情報を放り込む」といった話題が毎日のように投稿されています。そんな中、私のEvernoteの使い方は…

「オンライン対応のメモ帳」

…くらいの使い方しかしていません。「使っているんですね」と言われて大した使い方をしていないことを正直に打ち明けたのが恥ずかしいくらい。それでも便利です。自宅のWindowsマシン上のEvernoteでメモした内容が、普段作業用のMacBook Air上のEvernoteで見られるし、その逆もできる。さらにiPhoneでも読み書きできる。それだけで満足なんです。

使っていくうちに、少しずつ機能を開拓して行くこともできました。私にも多少の学習能力があったようです。ただ、機能を開拓したと言っても、いくつかのタグを作ったことと、頻繁に見るバスの時刻表をウェブクリップしたことくらい。アイデアメモをのノートを作ってアイデアを書き溜めるとか、NMLで聴いたクラシック音楽の感想を書き溜めるノートを作ったとか、別にEvernoteでなくともテキストファイルとメモ帳をフォルダに分類するだけでもいいくらいです。ジャケット画像をノート中に取り込むくらいはできて、メモ帳以上のことがWikiやブログよりも手軽にできることに少々驚きました。でも使う動機の一番は、オンライン対応でEvernoteを入れたどの端末でも同じものが見られる、それがいい。大した量のデータも入れないので、当然ながら無料プランです。

こと、一昔前からの「ライフハック」ブームで、ライフハックサイトやライフハックブログは日々増加、それこそアルファブロガーによって注目のサービスやアプリは徹底的に使いこなし術が開拓され、さらに次々にリリースされるアプリやサービスをことごとく拾って使って紹介していく。いささか情報過多とも思える時代のような気もします。個人的に残念ではありますが、そもそも「ライフハック」という言葉自体が既に使い尽くされバズワード化しつつあるとも思えます。

特にEvernoteの場合、注目されているサービスだけあって、巷で紹介されている「使いこなし術」の多さは驚くべきものがあります。今やパソコン雑誌やビジネス雑誌の記事だけでなく、Evernoteの書籍が何冊も登場しているくらいです。必然的にそういう情報を見たりしますが、個人的感想として「ちょっとやり過ぎでは…」と思う使い方もあったりします。

ライフハック全般に言えることなのですが、これらの情報を「あるべき論」と捉えて、それを試みたものの出来ないから「自分はダメだ」と思う風潮もあるようですが、それは違うと思います。本来は方法論の一つでしかないはずなのですが、著者の思い入れの強さからか「あるべき論」にしか見えない記事も少なくありません。それが原因か、ライフハックサイトに書かれた膨大なEvernote使いこなし術に圧倒されて、「Evernoteに挫折」という概念まで生まれているようです。

本来は、多くの使い方、多くの機能の紹介の中から、自分が必要だと思った機能だけ使えればいいじゃないですか。そして自分に必要が無ければ使わなければいいだけ。探せば自分に合った代替はきっとあります。もしかしたらそれはアナログツールかもしれない。

多くの人が使っているソフトウェアを例に挙げれば、Windowsのメモ帳に「挫折」する人がいないように、また膨大な機能があってそれを森羅万象を知り尽くして使いこなしている人が世界中に何人いるのかと思わせるWordやExcelに「挫折」する人がいないように、Evernoteに「挫折」することはおかしいことです。メモ帳が低機能だから使わなくなったからと言って「挫折」したわけでもないですし、Excel全体のほんの少しの機能しか使えないからと言って「挫折」したわけでもないでしょう。

「Evernoteに挫折」することは、「Excelの森羅万象の機能を使わないとExcelを使ったことにならない、という無理難題を真に受けてExcelを触るのが嫌になる暗示をかけられる」という比喩に似たものがあると思います。今まで述べてきたことを振り返れば、Evernoteに「挫折」なんて無い。いかがでしょうか。

この記事を書く際に特に参考にしたわけではありませんが、TogetterにEvernoteと挫折についてというまとめがあります。様々な方の意見がまとめられており興味深いです。

最後に。自己言及的でありますが、今まで述べたことも「あるべき論」ではなく「方法論の一つ」に過ぎない、私という一個人の考えの一つに過ぎないことも心に留めておいてください。Evernoteはオンライン対応のメモ帳程度のように使わないといけない訳でもありませんし、Evernote使いこなし術に邁進してもいいし、Evernoteなんて存在そのものを忘れてもいい。この私の考えの中で面白い・興味深いと思う部分だけを「つまみ食い」してくれれば嬉しいだけです。

私もそうですが、この情報過多の時代、全てを取り込もうとして消化不良になりがちです。気楽に情報の取捨選択をして、自分にあったものだけを取り入れるだけでいいんだと思います。私もしばらくはEvernoteを使い続けて、余裕があれば少しずつ使ったことの無い機能を試してみようと思います。

今のIT時代は情報の量もスピードも圧倒的ですが、急いだり焦ったりせず、でも着実に少しずつ成長していこうではありませんか。