おがた (@xtetsuji) です。
2013年の年末にGoogleが発売(LGが製造)したNexus 5を購入しました。16GBモデルをGoogle直販から直接購入しました。年末発注だったので、実家で受け取ることにしました。
購入から受け取りまで
実家の住所を日本語で書いたのですが、発送はシンガポールかどこかからだったらしく、Googleお得意(?)の機械翻訳で住所が超訳されており、ヤマト運輸の配達員の方が迷ったという話があります。市区町村の部分までは辞書があったのかうまく訳せていたんですけどねぇ。
実際にグレア液晶が目にきつかったのでアンチグレアフィルムを調達しに地元の電気屋まで行ったのですが、無かったのでAmazonで発注して、実際に本格的に使い始めたのが帰省から戻った2014年1月からとなりました。
触ってみて最初の感想
受け取って触ってみて思ったのは視野角が広いということ。視野角が広い!これに勝るものはありません。iPhoneも視野角が広いから愛用しているようなものです。国産Androidガラパゴススマホや中華パッドを使っていると、視野角が極悪に悪いものがあって、目が疲れて一週間も耐えられないことがあります。かくいう私もAndroid端末として国産メガネケースと中華パッドに投資をしたことがありますが、視野角が狭すぎて一週間程度で投げ捨てた過去があります。視野角の広さ大事。それはOSがAndroidかどうかに関わりません。
重要なことなので何度もいいます。視野角大事。液晶ディスプレイやノートパソコンを買うときにも、ディスプレイを真横に近いところから見て画面の内容が視認できない、もしくは目がひどく疲れるものは絶対に買うべきではありません。それはあなたの視力を知らず知らずのうちに奪う悪魔の品です。
iPhoneとAndroid、そして他のスマートフォンOS
iPhone 3G時代からの生粋のiPhoneユーザなので、よくAndroidは嫌いなのかと聞かれることがあるのですが、そういうわけではありません。でなければ国産メガネケースや中華パッドに投資するわけない。多様なOSを体験したいというのはIT業界に居るものとして当然の感想です。
半年くらいまえになると思いますが、Firefox OS勉強会にも行ってFirefox OS端末をいち早く触らせてもらいました。Firefox OS はネイティブアプリを作るのも全てJavaScriptという徹底ぶりなのですが、それでもOS側のチューニングがしっかりしていて、Firefox OSにとても好感を覚えました。
Firefox OSとTizen OSは、日本ではKDDI vs docomoという構図となっていますが、どちらのOSもコンセプトとしてはJavaScriptでネイティブアプリを書くというHTML5指向になっている部分もあり、iOSのObjective-CやAndroidのJavaといった未開の勉強までは必要ないというのが、ウェブ開発者視点での印象です。どちらのOSも楽しみですね。
…と、ここまで語ってきましたが、私はWindows Phoneという物の存在を絶対に許しません。あれがWindows CEと呼ばれた頃から、当時学生で貧乏だった私は未来を夢見ていくつものWindows CEマシンに投資をし、そしてがっかりするということを繰り返してきました。iPhone 3Gが出たときにスティーブ・バルマーは「Windows CEには100万本以上のソフトウェア資産がある」とiPhoneとAppleに嘲笑めいた喧嘩を売ったにも関わらず、その後すぐWindows CEとバイナリ互換を一切切り捨てたWindows Phoneなどというものを出してきました。その時の私の怒りはここでは書ききれません。スティーブ・バルマーは全世界を巡業して焼き土下座をしなければ許されない大罪を何度も犯しています。絶対に許さん!!!
MicrosoftとWindows自体がもうダメかと言われたらそうでもありません。私がMicrosoftにアドバイスするのであれば、Windows Phoneなんてものを作る暇があるのであれば、デスクトップOSとしてデファクトスタンダードとなっているWindows OSのカーネルをマイクロカーネル化して、Windowsのソフトも動かそうと思えば動かせる、そんなタブレットやスマートフォンを作ればよいのにと思うのです。Windows 8は今も現在進行形で多くの人々から非難を浴び続けています。古きよきWindowsをよくブラッシュアップできたWindows 7に立ち返り、それを継承したWindows 9を作り、それをマイクロカーネル化したモバイルOSを作れば、多くのビジネスマンに支持されることとなるのではないかと感じます。タッチインターフェースが必要だからWindows 8が生まれたのだという指摘もありますが、タッチインターフェースでWindows 8が成功しているとは到底思えません。もっとよい解決策があるはずです。それを考えてWindows 9に結実させることこそ、Windows Phoneを作るよりも先にMicrosoftが行うことではないでしょうか。
あと、Nexus 5が非常によい出来であることと対照的に、国産Android端末は高価で高機能な割に、使い勝手が直感的ではないという残念な傾向にあると思います。高機能ゆえに電池消費も早いという傾向があるようで、富士通やNECのAndroid端末を使っている人達は自分の端末の悪口を延々と言い続けるという面白い風景を何度も見てきました。当時からSoftbankのiPhoneユーザの私が「じゃぁiPhoneにしなよ…」というと「ドコモから出てないから…」という構図。今やドコモからもiPhoneが登場した今、あのときのみなさんはどうしていることでしょうか。
ソニエリやシャープはまだ良いほうのようです。IGZOの省電力などがあるのでしょうか。シャープのファンである私は、もし端末価格と維持費が安ければAQUOS Phoneも欲しいところではあるのですが、主にドコモの維持費がネックで踏みきれません。ちなみに私はドコモのガラケー(SH906i)ユーザでもあります。ガラケーは維持費が安くて助かります。
iPhoneと使い分けてみて思ったNexus 5の良さ
まず、Nexus 5のために以下のようなものを買いました。
とりあえずグレア液晶が目にきつかったので、アンチグレアフィルムは即発注。Qi対応ということもあって、興味深かったのと案外安かったのでワイヤレス充電パッドも購入。そして今まで使っていたBluetoothヘッドフォンがBluetooth2.0時代の古いものだったので、これを期にBluetooth 4.0対応の良いものを購入しました。あと、SIMロックフリーだったのと、都度iPhoneのテザリングで接続するのは面倒だなと、月480円で維持できる150kbpsのServerMan SIMを購入しました。速度的にはストリーミング動画を観たりしなければこれでも十分。どれも良い買い物でした。
ちなみにNexus 5の色は黒を買いました。白と黒があるという選択肢を全然知らなくて、そのまま黒を買ってしまった感じ。とはいえ、選べと言われても黒を買っていたと思います。
Nexus 5のホーム画面、こんな感じになっています。
なるべく普段使っているiPhoneのホーム画面に似せてみたというのと、iPhoneでいいだけゲームを入れて飽きているので、ゲームは一切入れなかったということでしょうか。あと音楽や動画の類もiPhone 5 64GBのほうにだけ入れています。内臓ストレージ容量も16GBなので、あまり欲張ってソフトウェアを入れても、すぐに限界が来るからこれくらいがちょうどよいのかもしれません。少なくともしばらくは、iPhone 5メイン、Nexus 5サブという状態が続くでしょう。
iPhoneはiTunesにロックオンされるから良くないというAndroid派の意見を聞きますが、私は結構iTunesを気に入っているので、これに関しては良いと思っています。逆にAndroidではiTunesやiTunes Storeのような中央集権的なメディアストアがない(実際はGoogle Play ***がありますが…)ところは、サードパーティ製の楽曲配信サービスが入り込む余地があって興味深いと思います。
iPhoneというかiOSではできなくてAndroidではできるということは結構あります。これは結構魅力的です。Nexus 5を1ヶ月弱使っていて気がついたものをいくつか挙げてみます。
- ソフトウェア常駐時間(iOS6で10分、iOS7で3分)の制限がない
- 通知欄がiOSより高機能
- ウィジェットの存在
- Google NowがOSネイティブ
- ファイルという概念と、共有の自由さ
- Wi-Fiのスニファが出来る
iPhoneでもIRCソフトLimeChatやクリップボード監視ソフトなどを使っていましたが、どうしてもソフトウェア常駐時間の制限が使い勝手のネックでした。AndroidではYaaicというIRCソフトウェアを使っていますが、常駐時間の制限も無く、その点ではとても使い勝手が良いソフトウェアです。ただ、iOSの常駐時間制限も電池消費を抑えるために設けられているわけで、Androidで常駐ソフトウェアをむやみに増やす事は、結果的に自分の首を締めることになるという「自己責任」があるのでしょう。「自由」と「自己責任」は表裏一体です。
通知欄が高機能であることと、ウィジェットの存在は、iOSから見たら一目瞭然の高機能さでありましょう。これについても電池消費の話がついてまわりますので「自由」のために「自己責任」をどこまでおうか、それはAndroidユーザ各人が考えるべきことなのでしょう。
Nexus 5は、現時点で一番新しいAndroid OS KitKat (4.4) を搭載していますが、Google NowがOSネイティブで入っているというのはなかなか便利だなと思いました。SIMを刺してどこかに行くと、Google Nowのカードが今いる最寄り駅から自宅に帰る最短ルートをサジェストしてくれる。iOSにもGoogleアプリがあって、Nowを擬似的に使うことができますが、それはアプリをいちいち起動しないといけないわけで、この機能は非常に便利だなと感じました。まぁ電池消費の話は繰り返されるわけですが…。
iOSにはファイルという概念は実質的に無い(隠蔽されている)のですが、Androidにはファイルという概念が存在して任意のファイルを「ダウンロード」することがOSとして可能です。また、共有という概念もiOSに比べて自由です。
例えば両OSのChromeで「共有」を選んだ画面を見てみると、メニューの項目が全く違います。
iOSで情報をアプリ間で受け渡しするとかは、URLスキームに頼ったりOpen-Inという手法もありますが、Androidほどの自由さはないでしょう。逆にiOSが制限があるゆえ、コンピュータウィルスへの危険が少なかったり、制限下で目的を達成しようとMyScriptsなどのアプリで頑張ったりといった、また別の良い部分や楽しさがあることも事実です。
これは個々の事例になるのですが、iOS6あたりで、AppleがWi-Fiをスニファするアプリを禁止してしまった経緯があります。この方針変更で、iPhoneでWi-Fiの強度であるとかチャンネルの干渉などを調べるアプリが軒並みAppStoreから無くなってしまいました。Apple側でもWi-FiスニファはAirCrack系アプリなどの悪用の危険性があるという判断からそういう経緯に至ったのでしょうが、結構私的には不便でした。Androidにはそのような制限がないので、私はNexus 5を手にとってまず入れたのは「WiFi Analyzer」というソフトでした。最近では街中でこれを起動して電波の干渉などを見ながら「Wi-Fiスポット増えたなぁ」とか思っています。
初心者にすすめるのはどっち?
では初心者にすすめるならどっちかと言われると、2014年現在であれば間違いなくiPhoneでしょう。Androidと一口に言っても、国産ガラパゴススマホから中華パッド、そしてNexus 5のような良品まで様々です。要件に「ワンセグとおサイフケータイ」と言われた時点で選択肢はガラケーか国産ガラパゴススマホになります。国産ガラパゴススマホ、使ってみると各社全く違う操作感で、往年のガラケーより混乱を招くんじゃないか…とすら思えます。同じAndroid OSとはいえ、メーカーAのユーザとメーカーBのユーザがいても、互いに情報共有しあえない状況では、ちょっと…という感じすらあります。
またiPhoneであれば身近に使っている人が多いということはあるでしょう。身近に質問できる人がいるというのはあらゆる物事で結構重要なことです。iPhoneであれば、OSがバージョンアップしたときの操作性もそれほど変わらず、iOSであればiPhoneとiPadでそれほど違いがないというのもあるでしょう。Androidはそうはいかないのではないかというのが私見です。
先ほどAndroidは「自由」と「自己責任」であると言いました。それと対比すればiPhone/iOSは「制限」と「ユーザ保護」と言えましょう。自己責任が取れて自由を安全に謳歌できる人ならよいのですが、全ての人がそうとはいえないでしょう。特に誰かに「iPhoneとAndroidどっちがよい?」と質問するひとであればなおさら。そうであれば、私の代わりにその人を保護してくれるOSのほうを選択してあげたいという気持ちがあります。iOSは制限は多いですが、一時期ほど気になるものではありません。またプッシュ通知(APNS)など、Androidより不自由な通知ではあるものの電池消費を最小限にする仕組みなど、そのユーザ保護は枚挙にいとまがありません。iTunesの存在も選択する一つの要素でしょう。
また、iPhoneのOSバージョンアップサイクルが長いというのも選択肢の一つでしょう。そういう質問をしてくる人は、たいがいレイトマジョリティで、買ったものを長く使う傾向にあります。アーリーアダプターとは違って、頻繁に機種を買い換えない。そうであれば、平均1回のOSバージョンアップで切り捨てられるAndroid端末よりも、何回もOSバージョンアップができる実績のあるiOS/iPhoneを選んだほうがよいという考えです。
あと、iPhoneは安い。これはケータイ事業者3社にAppleから販売通達が厳しく課せられていて、そのために販売奨励金がジャブジャブ投入されているからというAndroid派からの指摘は正解なのですが、消費者側から見たら安いに越したことはないでしょう。
決してこれらは、Androidが悪いから勧めないというわけではありません。そういう質問をしてくる人が大抵はアーリーアダプターとは対局の位置にいる人で、そういう人にはAndroidよりもiPhoneのほうが向く傾向にあるだろう、というだけにすぎません。その人がガラケーのヘビーユーザで1年未満でガラケーを買い換える傾向にある人であれば、また指標が変わってくるでしょう。
まとめ
端末価格も安く、維持費もゼロか低く抑えられ、なおかつKitKatをいち早く体験できるNexus 5は、たとえ国産ガラパゴススマホが対応しているようなワンセグやおサイフケータイが無くても、十分魅力的なAndroid端末です。iPhoneを持っている層も、お金に余裕があるのであれば、買って損はない端末、新たな良い体験ができる端末だと思えます。ぜひ御一考してみてください。