月別アーカイブ: 2014年6月

Yokohama.pm#11 に参加してきました #yokohamapm

おがた (@xtetsuji) です。

2014年5月25日(日曜日)に横浜で行われたPerlの勉強会「Yokohama.pm#11」に参加してきました。

ブログを書くのが6月末と遅くなってしまったのですが、今回のイベントは有意義だたので、多少遅れても記録として書いておきたいなと思った次第です。あとYokohama.pmと自分との振り返りも書いてみたくなったこともあります。

Yokohama.pmについてと、直近のYokohama.pmについて

Yokohama.pmはよくあるPerlの集まりである「地域.pm」の一つなのですが、以前は年一回くらいしか勉強会が開催できていませんでした。直近といえる数年間を列挙すると以下の様な感じ。

  • #7 2011年05月13日
  • #8 2011年11月18日
  • #9 2012年10月19日
  • #10 2014年02月21日
  • #11 2014年05月25日

#10 開催前に、主催側で「年一回も開けていない状況が続いているから、運営体制を変えてやっていこう」というやりとりがあったらしく、@yusukebe さんがリーダー、@mackee_w さんが副リーダーとして、3ヶ月おきくらいに開催していこうという流れになったようです。

私のYokohama.pmとの出会いは #8 を Ustream で観て、こりゃ勉強になると思ったのがきっかけだったようです。

そして実際に #9 に行きました。

#9 について書いた自分のブログ記事は無いようです。

そういえば #9 で、高校時代の後輩である @acidlemon 氏と再会したんでした。あの時は本当に驚きの出会いの場でしたね。向こうはこちらをTwitterでフォローしていて私がここにいるということを知っていたようですが、私のほうは全然知らなかったのでした。

そして #10 はプロントでのビール片手のオシャレ開催。#10 は本当に良い会場で、オシャレカフェが好きな自分にとって、ビールやピザなどの食べ物飲み物も振る舞われるという快適空間でした。感想エントリを書いていたので、そちらをご参照ください。

そして今回の #11。だいたい #10 から #11 は3ヶ月の間隔で、ちょうどよい間隔での開催が軌道に乗り始めた感があります。

2013年11月29日には「Yokohama.pm – 2013年ちょっと早い忘年会」という飲み会が催されたらしいのですが、私は当日は PerlBeginners#11 のほうに行っていたようです。

日曜日の勉強会という形式

今までは平日夜であったり土曜日夜という開催でしたが、今回のYokohama.pm#11はIT系勉強会があまり狙わない日曜日の夜というところを狙ってきました。これも主催者側の意図らしく、「平日夜が良いという人もいれば都合が悪い人もいる。そしてその逆もいる。参加者層を日曜開催ということで変えてみたかった」とのことでした。

今回のYokohama.pm#11のざっくりとしたタイムテーブル

本当にざっくりとしていて

  • 前半は @songumu さんによる1時間のライブコーディング
  • 後半は事前応募なしの会場挙手制のLT

という感じでした。

会場到着から開始まで

私は新江古田駅近く在住なのですが、横浜までは一度練馬駅まで行って、そこから副都心線と東急に乗り入れる電車に乗ると一本なのです。本当に副都心線で楽になりました。昨年のYAPC::Asia Tokyo 2013の会場も日吉駅近くの慶應義塾日吉キャンパスだったので、この電車が非常に便利でした。

練馬駅から横浜駅まで一本練馬駅にて。

18時に開始だと思っていたので急いで行ったものの、18時は開場で、開演は18時30分からなのでした。17時58分くらいに会場のビルに行って、会議室の入口で鍵が開いていないぞとかやっていました。一度一階に降りたら顔なじみの開催者のみなさんがやってきて、あぁそういうことかって思った次第です。

前半のライブコーディング

ライブコーディングというのは、その名の通り生(ライブ)でコーディングをしていくこと。音楽でいうところの即興演奏に近いものがあるでしょうか。普段は出来た完成形を発表しているプログラマですが、作る最中というものはどういうものなのかという興味もあって、時間が割ける場所では時々行われる催しです。今回はつい先日FA宣言をした @songmu さんがライブコーディングを行いました。

最初は「1時間ではCPANモジュールを作って上げるところまでいけない」とのことだったのですが、そこは@songmuさんの力で、Acme::BeerSushiをフルスクラッチから書くところから、CPANへアップするところまで、1時間で乗り切ったのはすごかったです。

今回書いたモジュールはビールと寿司の絵文字2つだけでプログラミングが書けるという、いわゆるBrainfuck系のお遊び言語を作るというものでした。本人曰く「これだけCPANモジュールをアップしていて、まだAcmeモジュールを作っていなかった」とのこと。今回、それが果たされる形になりました。

非実用的なモジュールではありますが、開発の流れ自体はテストからコーディングから公開まで、非常に参考になるものばかりでした。第一線の開発者によるノウハウがライブで映しだされて観られる機会って早々無いので、会場も食い入る様に見ていました。

私も流れるような操作を理解するのに一所懸命であまりメモを取っていません。録画があって後日公開されるらしいので、それに期待しましょう。

後半のその場募集のLT

メモとっていませんでした。

ライブコーディング同様、動画を撮っていたっぽかったので、それを期待しましょう。

懇親会

近所の居酒屋でした。

一部、横浜の家系ラーメンに行ってしまって30分くらい待っても帰ってこなかったので、もうこないのかってなっていました。

テーブルが2つに分かれていて、奥のテーブルで頼んだ注文も全部前のテーブルに吸い取られる事件が発生して、自分を含めて奥のテーブルの人達はお通しと最初の飲み物以外何も来ないという怪奇現象に悩まされました。奥のテーブルで腹減った状態が1時間位続いていて、これなら家系ラーメン食べに行けばよかったと思ったくらい。

ここはエンジニアの面白いところで、タッチパネル式注文機がテーブルを特定しているのかということを解析にかかります。実際のところ「テーブルは区別できる」という結論に至ったわけですが、それでもまだ前のテーブルに注文を無造作に持ってくる店員を大声で読んで「この状況をみて何かおかしいと思わない?」ってつい店員に強い口調で聞いてしまいました。怒ったわけじゃないけど、数年ぶりに店員に苦情言った。空腹は精神の平穏を乱してしまってダメですね。

その後、料理もちゃんと前と奥のテーブルできちんと区別されて配膳されはじめて(やっぱり区別できるじゃん!)ようやく奥のテーブルにも平安が戻ったところで、家系ラーメンに行った人が戻ってきました。どうも相当な時間並んで、さらに相当な時間注文で待たされたらしい。奥のテーブルで起こっていた珍事を知らない人たちが、飲み物を注文し、ようやく到着した食べ物を食べるという平和な光景でした。世界を良くしていくためには誰かが何か行動しないといけないし、後世の人は知らず知らずのうちにその恩恵を受けているという縮図的なものを見た感じでした。

話も弾んで、23時過ぎに店を出て各自帰宅となりました。

まとめ

日曜日の夜開催という点、主催者側の「平日夜や土曜夜という参加者層を変えたい」という狙いは大いに当たったと言えるものでした。

ただ、個人的に日曜日の夜だと月曜日が厳しい…。横浜近郊に住んでいれば良いのですが…。その辺は無理せず、参加できるときに参加するというスタイルがいいかなと思いました。

#8 でUstreamを見て行きたいと思った勉強会。今回も生放送ではないですが録画は後日公開される予定らしいので、行けなかった方はそれを待ちましょう。きっとエキサイティングなトークの数々が見られるはずです。

Hachioji.pm#41 に参加してきました #hachiojipm

おがた (@xtetsuji) です。

2014年6月21日に行われたHachioji.pm#41に参加してきました。

私のATNDのイベント参加ページを見てみると最近はHachioji.pm結構常連なんですが、あまりレポートらしいレポートを書いていなかったので、今回からは短くても書こうと思いました。他の勉強会のブログ記事でもそうなんですが、すぐ書かないともう書かないという法則もあるので、すばやく書く人を見習っていきます。あ、あと、思い出せたら#40以前も振り返りたいと思います。

とりあえず、お約束の居酒屋LTでトークした資料をアップしました。今回のテーマが「セッション」だったので、先日開催したガラケーイベントの余韻が冷めていなかったこともあって、ガラケー時代のセッションの昔話をしてきました。

18時開催なんですが、いつもHachioji.pmが行われる土曜日は慌ただしかったり疲れていたりで、遅刻の常連なんですよね。今回は前日金曜日に朝まで飲んでいたこともあって、起きたら17時で現地到着が20時30分くらいでした。私のために主催の@uzullaさんがLT開始を待っていてくれていたりと、お気遣いさせてしまいました。今度は18時から参加できるようにします。

内容としては、Hachioji.pm自体がゆるい会なので、飲み屋でお酒を飲みながら最近のトレンドを話たりする感じです。今回もそう。Yoというアプリが流行っていたので、なんか参加していない人にHachioji.pm参加者達でよってたかって投稿したりしていました。

私のYoアカウント名はxtetsujiです。でもこのアプリもClick Clickerくらいの鮮度なのかなとか思ったり思わなかったり。こういう流行りものは出てすぐに飛びついて一瞬楽しんだもの勝ちなのかもと最近は思います。

他の方々の参加ブログ記事も参考になります。

GoやDartやGroovyなど、GoogleやAndroid周辺言語が話題でした。Goはとにかく有用性が理解されて次のフェーズに進んでいるし、Android界隈でも開発効率などでGroovyを採用したり、Kotlinと言ってみたり、Google自体もJavaリスク(というかOracleリスク)を避けたいという思いもあるんじゃないかという仮説が立てられたりと盛り上がりました。世間の盛り上がりの割には、Swiftはキーワードとしてチラッと出ただけで特に話題にも上がらなかった感じ。

今回は、@__papix__ 氏が @uzulla さんとGotanda.pmの懇親会の流れからの再度の老害vs若者のプロレスをして(というか巻き込まれて)、無理やり「老害滅ぼしてこ」とか言いながらポーズを取らされたりして撮影会になっていたのがハイライトでした。ちょうど23時近くなって帰ろうとしていたころの出来事。本当に楽しい。

若い人が活躍するこの業界では、mod_rewriteやガラケーの話をしている私も老害なのかもしれませんが、それでも害にならない年長者としてこれからも若い人を支援していきたいですね。なんというか自分が老害になったら、いっそのこと若い人に滅ぼして欲しいくらいです。

若い人といえば、ついにWEB+DB PRESS Vol.81(2014年6月24日発売)で商業誌デビューした@moznion氏も元気そうでなによりでした。今号も面白い連載が目白押しっぽいです。

私のトークの中で「mod_rewriteを使ってディレクトリに見せかけた左側セッションを環境変数に入れる」という古風な手法を紹介したものの、これには決定的にまずい点があったのですが、時間や面倒だったりで省いたので、ここで補足。

環境変数に入れたセッションIDは、環境変数なわけでプロセス単位で保持されるわけです。あの単純なmod_rewriteだけだと、そのままpreforkしたプロセスが次のリクエストを処理した時にURLにセッションがない匿名アクセスだと、環境変数にセットした値が上書きされることもなく消されることもないので、ダメなんですよね。匿名アクセスは無くて全部に対してセッションを配るという実装だったり、もうちょっとmod_rewriteを工夫して左側セッションがない場合に当該環境変数をカラにするという設計であれば大丈夫です。

本来であればリクエスト単位で保持すべきデータはApache noteを使えという話になるのですが、PHP(mod_php)であればapache_note関数で読めるけどPHPならビルトインのセッションを使うよってなるし、CGIであればnoteを読む方法がたぶんないので、結局環境変数に頼る感じだったんですよね、2006年頃のPerl CGI期では(PSGIとPlackは2009年登場です)。自分の場合は、mod_perlで高速化していたPerl CGIのエミュレート環境(Apache1.3だとApache::Registry)だったので、2008年くらいの案件では自分のしていることを理解した上で、$cgi->r->notes->get(‘session’) とかやっていました($cgiはCGIのインスタンス)。

あと、同じApacheでVirtualHostを切るなりして違うサイトとか管理ページでも同じセッションの枠組みを利用している時に色々と混濁してしまう点にも注意しなきゃならなかったりします。一度それで痛い目を見たなと後で思い出しました。2014年にもなってこの仕組みを使う人はあまりいないとは思いますが、この場で補足しておきました。満足。

Hachioji.pmは面白いし気軽だし、@uzullaさんのPHPを始めとした豊富な経験が聞けたりと、非常にお得な「エンジニアのオフ会」なので、中央線沿線に住んでいるエンジニアの人は土曜日暇であればぜひオススメしたいです。次回も予定が空いていれば参加します。

「シニアエンジニアによるガラケー大戦回顧録」というイベントを開催した話 #garake_kaikoroku

10年弱ガラケーでウェブ開発をしていた おがた(@xtetsuji) です。

2014年6月8日に「シニアエンジニアによるガラケー大戦回顧録」というイベントを開催させていただきました。

最初は「3人くらい集まってワイワイとガラケー時代のことを語れればいいな」くらいに考えていたら、2万人くらいフォロワーがいる人にRTされて、その日一日中iPhoneが震えっぱなしでした。意図に反して、人によっては悪ふざけと取られて批判されるかもしれないという内容だったので、自分もその日一日中震えっぱなしでした。

結果的にATNDのページには相当のブクマやLikeがついて、一人反響に驚いていました。

めちゃくちゃバズったガラケー大戦回顧録

ネットの人もジョークがわかってくれる人がほとんどで安心しました。まぁ「近寄ってはダメだ」とか言ってくれる人も良い人です。

「まだ有効なNDA等には注意してくださいね」といったことは周知しつつも、バッドノウハウとか闇とかアレすぎて、文脈すっ飛ばしてブログに書くと色々問題がありそうなネタばかりだったので、以下では詳細までは書いていません。気になる方は実世界で私をつかまえてこっそり聞いてください。問題ない範囲でお話します。

かなり面白い人々が集まった

参加者は、@kaz_hiramatsu さん以外は実際の面識がほとんど・全くない人ばかりでした。

日本のC++の第一人者として有名な江添亮さんが参加することになったとき、多くの人に「江添さん来るけど大丈夫なんですか?」って言われました。ネットでは怖い人だと思われているのかな。本人のブログで信念を持った文章を書いているからなのかもしれません。でも実際に会ってみたら、頭の回転が凄まじく早い、口や手といったI/Oも相当早いけど頭の回転のほうが遥かに早くてすごい、という人でした。ダメなものはダメと断罪する人だったけど、怖い人ではなかったですよ。物凄い人であったことは事実で、また一人そういう人に会うことで自分もしっかりしなきゃと思わされて、とても良い経験でした。

メールで問い合わせを頂いた上で参加くださった方ともお会いして、楽しい話ができました。

当時貴重なガラケー向け情報サイトke-tai.orgを運営していて、今はインフィニットループの代表取締役である@keitaiorgこと松井さんも、札幌から参戦していただきました。Hokkaido.pmですれ違ったことはあったのですが、実際に挨拶をして名刺交換をしたのは今回が初めてでした。

会場に選んだ「レストラン・スカイキャロット」について

三軒茶屋のランドマークタワー「キャロットタワー」の上階にある「レストラン・スカイキャロット」を会場にしました。とても眺めが良かったです。

電話で10名予約をして席が用意されたのですが、電話予約の時から噛み合わないやりとりを何度もしていたら、店を出るときに意外なことを言われて、やっぱりなーとか思いました。私は悪くなかったんですが、私達が結果的に得をしたのか損をしたのか、ちょっと書けない。

なんか枝葉のことまで書けないことだらけの会すぎて困る…。会の実際の内容も含めて、実情を知りたい人は私を捕まえてこっそり聴いてください。大事なことではないのですが、二回言いました。

集合

主催が遅刻するわけにいかないので、とりあえず13時までに会場に向かいます。ちょっとギリギリかなと思っていたのですが、なんとかたどりつけました。

一人、キャロットタワーに興奮します。

会場に到着して予約名を言ったら、既に江添さんがいらっしゃいました。初対面。

続々と人が集まってきます。松井さんは札幌から直行で遅れるとあった通り、しばらくは松井さん以外の9人で食事をしつつ歓談。

私の個人名刺入れがドラクエ2のROMカセットのデザインのやつだったので、最初がドラクエ2の設計に関する話から始まるところ、シニアエンジニアっぽい感じです。

その後、松井さんも合流して10人揃います。揃って食事しつつ歓談。

話題いろいろ

「Tomcatが動かないことが発覚して、急遽シェルスクリプトから標準入力を読んでJavaのコマンドラインに与えるJava CGIを…」といった話がでて、「え?Java CGI?」と会場が驚きに包まれたり…。あんまりガラケー関係ない話ではありますが、ガラケー時代のサーバサイド技術の混沌期を感じさせる話題です。これはツイートしていいって言われたのでツイートしました。誰が言ったかはヒミツ。

終始、江添さんトークがすごかった。ドワンゴの今からC++に関することまで。エンジニアやエンジニア経験のあった人は楽しめただろうけど、それ以外の人を置いてきぼりにしてしまったかなとか、主催者として後で不安になったりしたくらいでした。

その他にも個別に書けない(書く許可を取っていない)話題をいくつもいただけて、主催者として非常に楽しめたイベントでした。

トークと、私が考える過去からの教訓からより良く学ぶ方法

事前トークを募集したのですが誰もいなかったので、結果的に私のトークだけでした。発表したかったけど、雰囲気がわからず準備できなかったという人はいました。発表といっても、特にプロジェクターとかはなく、大きな文字のスライドをノートパソコンに写してかかげて見せる形式。少人数だからできる形式ですね。

これもまた、ちょっと文脈無視では公開できない内容なのですが、せっかくなので一枚見せます。モザイクだらけですけど。

スライドよりクリスタルタワー、モザイク入り

このイベント、「8年前の今日」にガラケー開発で貴重な体験をしたネタを「供養」するために開催したというネタばらしでした。スライドの一部分をファイナルファンタジーIIIのストーリー仕立てにしたら、これもドラクエ2と同様にシニア世代にうけたようで良かったです。

当時は本当に大変だったけど、3年6年と年月が経つにつれ、当時の関係者と当時を振り返って笑えるようになりました。そして8年の時を経た今、同じ失敗を繰り返さないよう、一見ネガティブと思われることもポジティブに変えて、こういうことはどんどん共有したほうがいいんじゃないかなという私からのメッセージでもありました。

話題としての失敗っていうのは、そういう文脈を伝えられなかったり伝えづらい文章の形で公開してしまうと、どうしてもネガティブなものと捉えられられて、本来伝えたい過去からの教訓というものが霞んでしまうんですよね。こういうのをポジティブな文脈に替えて誤解なく伝えられるのは、実際に顔を合わせて話をすることしかないんだよなーとは、よく思うところです。

ネットには成功体験記事は多いけど失敗体験記事が少ないのは、恥を公開したくないといった側面の他に、どうしても読み手にネガティブな印象を与えてしまうからじゃないかと思っています。勉強会や懇親会といった場でなら失敗談であるとか技術の廃れといったことを聞けるのは、このネット時代であってもリアルに出会える場所が重要であることを物語っていると思います。

「ネガティブ良くない、ポジティブに行こう」というのには大賛成なのですが、失敗談から学ぶときに一見ネガティブととられかねない話題は避けては通れないと思っています。ガラケー開発の闇も同様。ガラケー開発の闇ほどではないものの、今もスマートフォンの断片化などが問題になっています。そういうものもポジティブに変えて考えていこう、この会にはそういうテーマも根底に設けたつもりです。

ちなみに昔ほど今の開発現場の闇が深くないと考えられる理由として、ガラケー時代以降の勉強会文化によって横の情報連携が活発になったこと、昔よりもはるかに開発現場のツールチェーンが進化したことなどが挙げられていました。

NDAというものの影響がはるかに大きいガラケー開発の世界

江添さんも直近のブログで指摘してくれていましたが、勉強会文化が普及しなかったり横の情報連携が停滞したりといった要因は、やはり巷でNDAと呼ばれている秘密保持契約によるものが大きいなと感じました。

それは「発売日・正式リリース日までの口外を禁ずる」といったAppleやGoogleがよくやる期間限定タイプの最近よくあるパターンなものではなく、ほぼその技術が存在し続ける限り恒久的に続くNDAを結ばなくてはならないものです。ハードウェア的なものは理解できなくはないとしても、ソフトウェア的なことに関してもことごとくNDAの世界が広がっているのがガラケー開発の世界でした。

絵文字の世界も闇が深いです。ガラケーから外部SMTPサーバへ絵文字入りメールを出すと、いわゆる「ゲタ」(〓)になることは有名な話ですが、特別な申請を経てキャリア側の特別な許可が下りることでこれを回避することができます。そうでなければGmailやYahoo!メールの挙動を説明することはできませんし、3キャリア(WILLCOMやE-MOBILEも入れるともっと?)間での絵文字の相互運用を説明することはできません。

観測事実として、絵文字には各キャリア統一テーブルが存在するのです。とはいえ、実際に絵文字を「統一」したのはUnicodeコンソーシアムに働きかけたGoogleやAppleでした。実際に3キャリアの下で統一された絵文字コードはこのUnicodeではありません。もしそうであれば、ドコモなどを差し置いてGoogleが申請する道理もないですし、GoogleはドコモとのNDA違反をすることになります。すなわち観測事実として、NDAを結んでいない人が知らないテーブルが存在するのです。私は前職でこのテーブルについて偶然知り得てしまったのですが、これは各キャリアとのNDAが今も有効なので当然ながら今回も話すことができませんでした。

日本のガラケーキャリアが閉鎖的な絵文字テーブルを運用している間に、GoogleやAppleは標準化を提案し、美味しいところを持って行って主導権を握るのです。

これは絵文字の例だけではありません。AndroidであったりiPhoneであったりといったスマートフォンのエコシステムと比較したガラケーの世界は、似たり寄ったりの話ばかりです。GoogleやAppleが好きか嫌いか国粋主義者か否かは別として、日本のガラケーキャリアがガラパゴスと揶揄されるゆえんがわかる話ではないでしょうか。

「公式サイト」という言葉も生んだガラケー業界。公式サイトになるためには、それなりの体裁をなした企業が溜池山王(ドコモの本社があるところです)に何度も通わなければならず、一度作った公式サイトの企業間譲渡も制限されるといった不自由さ。そりゃ、どこにも出向かず、お金さえ払えば、たとえ無名の個人だってウェブからアプリをアップロードして全世界展開させてくれるGoogle(Android)やApple(iPhone)に飛びつくに決まっていますよね。公式サイトの課金手数料もNDAだと思うので書けませんが、それよりもはるかに高いと言われる30%というGoogleやAppleに払う手数料も、実際に参勤交代をすることもなく、日本だけでなく世界展開させてくれると思えば安いものです。ガラケー全盛末期の時代はキャリアのトップサイトより影響力を握ったソーシャルゲームプラットフォームに載せるために、キャリアの手数料にソーシャルゲームプラットフォームの手数料も更に上乗せされた額が乗ったわけです。この流れは、公式サイトやソーシャルゲームプラットフォームをすっ飛ばしてGoogle PlayやAppStoreに直接載せるという今の「パズドラモデル」を推進させる流れにもなったように思えます。

今後のガラケー

スマートフォンが使いづらい、スマートフォンの料金体系が高いといったことを嫌う一定層から、今またガラケーが支持を集めています。会の参加者も、私を含めてガラケーとスマートフォンの二台持ちという人も見受けられましたが、そういう人であってもガラケー開発のノウハウは記憶をたぐり寄せるという、いにしえの技術になってしまっています。ke-tai.org の松井さんでさえもです。

しばらくは一部の愛用者からのガラケーの支持も続くとは思いますし、ガラケーが完全になくなることは今後数年は無いとは思いますが、今後はガラケーとスマートフォンの内部的な垣根はどんどんなくなっていって、外側をガラケーに似せた「ガラスマ」が進化し、適切な料金プランとともにガラケー愛好家に浸透していって、根底のガラケー開発の知識はほぼ過ぎ去った知識と言える時代もそう遠い未来ではないのではないかと思えます。

会の終了後

13時から始まったこのイベント、17時に予定通りお開きとなりました。

会計を済ませて、少しみんなで三軒茶屋の名所を散策。

二次会っぽいものに行く人は残り、そうでない人は解散という流れ。5名が帰路につき、5名が残りました。

二次会は居酒屋。とはいえ昼食はしっかり食べているし、アルコールは飲まなかったものの飲み物も結構飲んでいたので、皆さん数杯飲んで満足。

ここでは江添さんのC++話が炸裂しました。

レトロゲームやネトゲの話にもなったのですが、どんなゲームも結局一年くらいで飽きるし、一番のクソゲーであり最もプレイ時間が長い「現実」というゲームに投資しておいたほうが良いと満場一致したのが面白かったです。

21時頃解散。

まとめ

「江添劇場」はすごかったです。C++へ興味湧きます。

二次会にも来てくださった @halmatch さんは、ゲーム業界寄りの話も含めて興味深い話題を色々と提供してくれて、また会って話をしてみたいと思いました。他の勉強会などの集まりとかでつながりが持てると嬉しいです。

予想外に多くの人に注目はされたこのイベント、コメントで「行きたい」という人も多く見受けられ、それに対して江添さんが冗談まじりに「ドワンゴで大規模に勉強会形式でやりますか?」と振られたものの、みんなで「逆に大規模にやったら、発表者出てくるのか…?」といった心配事もあったり、なかなか性質が難しいイベントだなと思った次第です。この規模だからアットホームに各人の真意が正しく伝わって、過去から学んでポジティブに行こうという認識が持てたけど、人が多かったどうなるんだろうとか…。大きな会場が提供されて自分が主催をするとしても、誤解の無い進行は難しいだろうなって感じはします。2012年に一度行われた「失敗カンファレンス」も、今になって概要を見ると、扱いづらい話題を扱った難しいイベントだったんだなと思わされます。

普段はPerlの勉強会ばかりに行くので、そこでは顔見知りの人と話せて楽しいという反面、新しい人との出会いが最近少なかったので、今回のイベントは主催者ながら本当に刺激的でした。

このイベントや続編の開催などに興味のある方、ぜひとも私をリアル世界でつかまえてこっそり聞いてくださるか、Twitterで #garake_kaikoroku ハッシュタグをつけてツイートしてくださると嬉しいです。

これからも様々な経歴を持った方々と様々な場所でお会いして学んでいきたいです。よろしくお願いします。

「お薬手帳」を持参しないと20円得する話

胃潰瘍の消化器外科やら咳の呼吸器内科やらと、通院マイスターになりつつある おがた (@xtetsuji) です。

最近こんなニュースがありました。

要約すると「お薬手帳を持っていかないと20円自己負担額が安くなる」というもの。2014年4月からのようで、複数の診療科にかかっている自分からしたら、そんなの初めて知ったということで、本当なのかと昨日確認してきました。

実際に確認しにいったのは、東京都の中野駅近くの調剤薬局。私がずいぶん以前から常連の場所で、普段私がお薬手帳を持ち歩いていることを薬剤師の方々が知っている薬局です。

  • 薬剤師「お会計は920円です。お薬手帳はお持ちですか?」
  • 私「えっと…ネットで最近見たんですが、お薬手帳を持っていると20円負担が増えるって本当なんですか?」
  • 薬剤師「はい、本当です」
  • 私「それって具体的にどういう行為にお金がかかっているんですか?」
  • 薬剤師「このお薬手帳に貼るための処方したお薬の一覧が書かれたシール、これをお出しすることが通常の3割負担で20円のご負担になります
  • 私「私って普段はお薬手帳を持っているんですが(今日は持っていたもののの隠しましたが…)、実はスマートフォンのアプリで服用履歴を管理していて(薬剤師の方に見せる)、これを以前初めて行った調剤薬局で見せたらとても薬剤師の方の参考になって話が早かったのですが、そういうのを見せてアドバイスをもらうことで金は取られないのですか?」
  • 薬剤師「こういうアプリもあるんですね。参考になります。あくまで先ほどお話した通り、当薬局ではお薬手帳に貼るための処方したお薬の一覧が書かれたシールを出すことで負担が発生します」
  • 私「私はアプリで服用記録をしていて満足なのですが、ここで要らないといったら20円引かれますか?」
  • 薬剤師「はい」
  • …といいつつすぐに900円に直された領収書が出てくる

少なくとも私の行きつけの調剤薬局では本当でした

とはいえ、薬の飲み合わせというのがあるのも事実。でも、メモでも何でも自分でとっていて、お薬手帳以外の手段でそれを薬剤師に伝えてもこの負担は発生しないらしい(どこでもそうかはわかりません)という話を聞いたので、じゃぁ自分で管理したほうがいいやというのが本音です。

というか通院マイスターになると、お薬手帳がかさばって大変なんですよ。しかも過去のお薬手帳をどうするかとか悩ましいし。大昔のお薬手帳を持っていて、そういう薬を飲んでもアレルギーがなかったとかってことを言おうにも、直近のお薬手帳はまだしも普通は大昔のお薬手帳なんて持ち歩いていないし、スマートフォンアプリで管理するのが良いよなぁというのが最近の意見です。

最近私が使っているアプリは、iPhone/Android両対応の「総合お薬検索」というアプリです。初回に多少面倒なユーザ登録が必要ですが、サーバ上でデータを持ってくれて、複数端末で使った時にもデータを同期してくれるのがすごい便利です。また先発・後発かかわらずかなりの薬のデータベースを持っていて、入力も簡単なのが良いです。

先日、お薬手帳を持たずに病院に行って、急に初めて入った調剤薬局で、初診者恒例で書かされる各種アンケートを書いた後、薬剤師が飲み合わせについて困った顔をしながら一つ一つ聞いてくるなかで、このアプリで記録している服用履歴を見せたら一気に解決したようで、豆に記録しておくものだなぁと思いました。私のようにライフログ大好きな人ならすんなり入れるんじゃないでしょうか。その前に病気しないに越したことはないのですが、人間生きていればどうしても病気にかかってしまうのは常。日頃から準備しておくことに越したことはなさそうです。

iPhone版はこちら:

Android版はこちら:総合お薬検索 – Google Play の Android アプリ

先のリンクの記事を読むと、今回の制度改定には医療行政の思惑だったりがあるようですが、医薬分業でコストがかかっているのなら利用者にとっても国にとっても良くないよなぁとか思います。薬剤師の雇用創出的側面もあったり、医師と薬剤師の二重チェックといった部分や、医師の利益操作を避ける意味での医薬分業という意義もあるのだと思います。ただ、病院行った後、調剤薬局であれこれ面倒なことをして薬を受け取る手間とか、そういうコストを考えると、もっと利用者や国にとって良い形があるんじゃないかなぁと思う次第です。