「シニアエンジニアによるガラケー大戦回顧録」というイベントを開催した話 #garake_kaikoroku

「シニアエンジニアによるガラケー大戦回顧録」というイベントを開催した話 #garake_kaikoroku#interest_ae10年弱ガラケーでウェブ開発をしていた おがた(@xtetsuji) です。

2014年6月8日に「シニアエンジニアによるガラケー大戦回顧録」というイベントを開催させていただきました。

最初は「3人くらい集まってワイワイとガラケー時代のことを語れればいいな」くらいに考えていたら、2万人くらいフォロワーがいる人にRTされて、その日一日中iPhoneが震えっぱなしでした。意図に反して、人によっては悪ふざけと取られて批判されるかもしれないという内容だったので、自分もその日一日中震えっぱなしでした。

結果的にATNDのページには相当のブクマやLikeがついて、一人反響に驚いていました。

めちゃくちゃバズったガラケー大戦回顧録

ネットの人もジョークがわかってくれる人がほとんどで安心しました。まぁ「近寄ってはダメだ」とか言ってくれる人も良い人です。

「まだ有効なNDA等には注意してくださいね」といったことは周知しつつも、バッドノウハウとか闇とかアレすぎて、文脈すっ飛ばしてブログに書くと色々問題がありそうなネタばかりだったので、以下では詳細までは書いていません。気になる方は実世界で私をつかまえてこっそり聞いてください。問題ない範囲でお話します。

かなり面白い人々が集まった

参加者は、@kaz_hiramatsu さん以外は実際の面識がほとんど・全くない人ばかりでした。

日本のC++の第一人者として有名な江添亮さんが参加することになったとき、多くの人に「江添さん来るけど大丈夫なんですか?」って言われました。ネットでは怖い人だと思われているのかな。本人のブログで信念を持った文章を書いているからなのかもしれません。でも実際に会ってみたら、頭の回転が凄まじく早い、口や手といったI/Oも相当早いけど頭の回転のほうが遥かに早くてすごい、という人でした。ダメなものはダメと断罪する人だったけど、怖い人ではなかったですよ。物凄い人であったことは事実で、また一人そういう人に会うことで自分もしっかりしなきゃと思わされて、とても良い経験でした。

メールで問い合わせを頂いた上で参加くださった方ともお会いして、楽しい話ができました。

当時貴重なガラケー向け情報サイトke-tai.orgを運営していて、今はインフィニットループの代表取締役である@keitaiorgこと松井さんも、札幌から参戦していただきました。Hokkaido.pmですれ違ったことはあったのですが、実際に挨拶をして名刺交換をしたのは今回が初めてでした。

会場に選んだ「レストラン・スカイキャロット」について

三軒茶屋のランドマークタワー「キャロットタワー」の上階にある「レストラン・スカイキャロット」を会場にしました。とても眺めが良かったです。

電話で10名予約をして席が用意されたのですが、電話予約の時から噛み合わないやりとりを何度もしていたら、店を出るときに意外なことを言われて、やっぱりなーとか思いました。私は悪くなかったんですが、私達が結果的に得をしたのか損をしたのか、ちょっと書けない。

なんか枝葉のことまで書けないことだらけの会すぎて困る…。会の実際の内容も含めて、実情を知りたい人は私を捕まえてこっそり聴いてください。大事なことではないのですが、二回言いました。

集合

主催が遅刻するわけにいかないので、とりあえず13時までに会場に向かいます。ちょっとギリギリかなと思っていたのですが、なんとかたどりつけました。

一人、キャロットタワーに興奮します。

会場に到着して予約名を言ったら、既に江添さんがいらっしゃいました。初対面。

続々と人が集まってきます。松井さんは札幌から直行で遅れるとあった通り、しばらくは松井さん以外の9人で食事をしつつ歓談。

私の個人名刺入れがドラクエ2のROMカセットのデザインのやつだったので、最初がドラクエ2の設計に関する話から始まるところ、シニアエンジニアっぽい感じです。

その後、松井さんも合流して10人揃います。揃って食事しつつ歓談。

話題いろいろ

「Tomcatが動かないことが発覚して、急遽シェルスクリプトから標準入力を読んでJavaのコマンドラインに与えるJava CGIを…」といった話がでて、「え?Java CGI?」と会場が驚きに包まれたり…。あんまりガラケー関係ない話ではありますが、ガラケー時代のサーバサイド技術の混沌期を感じさせる話題です。これはツイートしていいって言われたのでツイートしました。誰が言ったかはヒミツ。

終始、江添さんトークがすごかった。ドワンゴの今からC++に関することまで。エンジニアやエンジニア経験のあった人は楽しめただろうけど、それ以外の人を置いてきぼりにしてしまったかなとか、主催者として後で不安になったりしたくらいでした。

その他にも個別に書けない(書く許可を取っていない)話題をいくつもいただけて、主催者として非常に楽しめたイベントでした。

トークと、私が考える過去からの教訓からより良く学ぶ方法

事前トークを募集したのですが誰もいなかったので、結果的に私のトークだけでした。発表したかったけど、雰囲気がわからず準備できなかったという人はいました。発表といっても、特にプロジェクターとかはなく、大きな文字のスライドをノートパソコンに写してかかげて見せる形式。少人数だからできる形式ですね。

これもまた、ちょっと文脈無視では公開できない内容なのですが、せっかくなので一枚見せます。モザイクだらけですけど。

スライドよりクリスタルタワー、モザイク入り

このイベント、「8年前の今日」にガラケー開発で貴重な体験をしたネタを「供養」するために開催したというネタばらしでした。スライドの一部分をファイナルファンタジーIIIのストーリー仕立てにしたら、これもドラクエ2と同様にシニア世代にうけたようで良かったです。

当時は本当に大変だったけど、3年6年と年月が経つにつれ、当時の関係者と当時を振り返って笑えるようになりました。そして8年の時を経た今、同じ失敗を繰り返さないよう、一見ネガティブと思われることもポジティブに変えて、こういうことはどんどん共有したほうがいいんじゃないかなという私からのメッセージでもありました。

話題としての失敗っていうのは、そういう文脈を伝えられなかったり伝えづらい文章の形で公開してしまうと、どうしてもネガティブなものと捉えられられて、本来伝えたい過去からの教訓というものが霞んでしまうんですよね。こういうのをポジティブな文脈に替えて誤解なく伝えられるのは、実際に顔を合わせて話をすることしかないんだよなーとは、よく思うところです。

ネットには成功体験記事は多いけど失敗体験記事が少ないのは、恥を公開したくないといった側面の他に、どうしても読み手にネガティブな印象を与えてしまうからじゃないかと思っています。勉強会や懇親会といった場でなら失敗談であるとか技術の廃れといったことを聞けるのは、このネット時代であってもリアルに出会える場所が重要であることを物語っていると思います。

「ネガティブ良くない、ポジティブに行こう」というのには大賛成なのですが、失敗談から学ぶときに一見ネガティブととられかねない話題は避けては通れないと思っています。ガラケー開発の闇も同様。ガラケー開発の闇ほどではないものの、今もスマートフォンの断片化などが問題になっています。そういうものもポジティブに変えて考えていこう、この会にはそういうテーマも根底に設けたつもりです。

ちなみに昔ほど今の開発現場の闇が深くないと考えられる理由として、ガラケー時代以降の勉強会文化によって横の情報連携が活発になったこと、昔よりもはるかに開発現場のツールチェーンが進化したことなどが挙げられていました。

NDAというものの影響がはるかに大きいガラケー開発の世界

江添さんも直近のブログで指摘してくれていましたが、勉強会文化が普及しなかったり横の情報連携が停滞したりといった要因は、やはり巷でNDAと呼ばれている秘密保持契約によるものが大きいなと感じました。

それは「発売日・正式リリース日までの口外を禁ずる」といったAppleやGoogleがよくやる期間限定タイプの最近よくあるパターンなものではなく、ほぼその技術が存在し続ける限り恒久的に続くNDAを結ばなくてはならないものです。ハードウェア的なものは理解できなくはないとしても、ソフトウェア的なことに関してもことごとくNDAの世界が広がっているのがガラケー開発の世界でした。

絵文字の世界も闇が深いです。ガラケーから外部SMTPサーバへ絵文字入りメールを出すと、いわゆる「ゲタ」(〓)になることは有名な話ですが、特別な申請を経てキャリア側の特別な許可が下りることでこれを回避することができます。そうでなければGmailやYahoo!メールの挙動を説明することはできませんし、3キャリア(WILLCOMやE-MOBILEも入れるともっと?)間での絵文字の相互運用を説明することはできません。

観測事実として、絵文字には各キャリア統一テーブルが存在するのです。とはいえ、実際に絵文字を「統一」したのはUnicodeコンソーシアムに働きかけたGoogleやAppleでした。実際に3キャリアの下で統一された絵文字コードはこのUnicodeではありません。もしそうであれば、ドコモなどを差し置いてGoogleが申請する道理もないですし、GoogleはドコモとのNDA違反をすることになります。すなわち観測事実として、NDAを結んでいない人が知らないテーブルが存在するのです。私は前職でこのテーブルについて偶然知り得てしまったのですが、これは各キャリアとのNDAが今も有効なので当然ながら今回も話すことができませんでした。

日本のガラケーキャリアが閉鎖的な絵文字テーブルを運用している間に、GoogleやAppleは標準化を提案し、美味しいところを持って行って主導権を握るのです。

これは絵文字の例だけではありません。AndroidであったりiPhoneであったりといったスマートフォンのエコシステムと比較したガラケーの世界は、似たり寄ったりの話ばかりです。GoogleやAppleが好きか嫌いか国粋主義者か否かは別として、日本のガラケーキャリアがガラパゴスと揶揄されるゆえんがわかる話ではないでしょうか。

「公式サイト」という言葉も生んだガラケー業界。公式サイトになるためには、それなりの体裁をなした企業が溜池山王(ドコモの本社があるところです)に何度も通わなければならず、一度作った公式サイトの企業間譲渡も制限されるといった不自由さ。そりゃ、どこにも出向かず、お金さえ払えば、たとえ無名の個人だってウェブからアプリをアップロードして全世界展開させてくれるGoogle(Android)やApple(iPhone)に飛びつくに決まっていますよね。公式サイトの課金手数料もNDAだと思うので書けませんが、それよりもはるかに高いと言われる30%というGoogleやAppleに払う手数料も、実際に参勤交代をすることもなく、日本だけでなく世界展開させてくれると思えば安いものです。ガラケー全盛末期の時代はキャリアのトップサイトより影響力を握ったソーシャルゲームプラットフォームに載せるために、キャリアの手数料にソーシャルゲームプラットフォームの手数料も更に上乗せされた額が乗ったわけです。この流れは、公式サイトやソーシャルゲームプラットフォームをすっ飛ばしてGoogle PlayやAppStoreに直接載せるという今の「パズドラモデル」を推進させる流れにもなったように思えます。

今後のガラケー

スマートフォンが使いづらい、スマートフォンの料金体系が高いといったことを嫌う一定層から、今またガラケーが支持を集めています。会の参加者も、私を含めてガラケーとスマートフォンの二台持ちという人も見受けられましたが、そういう人であってもガラケー開発のノウハウは記憶をたぐり寄せるという、いにしえの技術になってしまっています。ke-tai.org の松井さんでさえもです。

しばらくは一部の愛用者からのガラケーの支持も続くとは思いますし、ガラケーが完全になくなることは今後数年は無いとは思いますが、今後はガラケーとスマートフォンの内部的な垣根はどんどんなくなっていって、外側をガラケーに似せた「ガラスマ」が進化し、適切な料金プランとともにガラケー愛好家に浸透していって、根底のガラケー開発の知識はほぼ過ぎ去った知識と言える時代もそう遠い未来ではないのではないかと思えます。

会の終了後

13時から始まったこのイベント、17時に予定通りお開きとなりました。

会計を済ませて、少しみんなで三軒茶屋の名所を散策。

二次会っぽいものに行く人は残り、そうでない人は解散という流れ。5名が帰路につき、5名が残りました。

二次会は居酒屋。とはいえ昼食はしっかり食べているし、アルコールは飲まなかったものの飲み物も結構飲んでいたので、皆さん数杯飲んで満足。

ここでは江添さんのC++話が炸裂しました。

レトロゲームやネトゲの話にもなったのですが、どんなゲームも結局一年くらいで飽きるし、一番のクソゲーであり最もプレイ時間が長い「現実」というゲームに投資しておいたほうが良いと満場一致したのが面白かったです。

21時頃解散。

まとめ

「江添劇場」はすごかったです。C++へ興味湧きます。

二次会にも来てくださった @halmatch さんは、ゲーム業界寄りの話も含めて興味深い話題を色々と提供してくれて、また会って話をしてみたいと思いました。他の勉強会などの集まりとかでつながりが持てると嬉しいです。

予想外に多くの人に注目はされたこのイベント、コメントで「行きたい」という人も多く見受けられ、それに対して江添さんが冗談まじりに「ドワンゴで大規模に勉強会形式でやりますか?」と振られたものの、みんなで「逆に大規模にやったら、発表者出てくるのか…?」といった心配事もあったり、なかなか性質が難しいイベントだなと思った次第です。この規模だからアットホームに各人の真意が正しく伝わって、過去から学んでポジティブに行こうという認識が持てたけど、人が多かったどうなるんだろうとか…。大きな会場が提供されて自分が主催をするとしても、誤解の無い進行は難しいだろうなって感じはします。2012年に一度行われた「失敗カンファレンス」も、今になって概要を見ると、扱いづらい話題を扱った難しいイベントだったんだなと思わされます。

普段はPerlの勉強会ばかりに行くので、そこでは顔見知りの人と話せて楽しいという反面、新しい人との出会いが最近少なかったので、今回のイベントは主催者ながら本当に刺激的でした。

このイベントや続編の開催などに興味のある方、ぜひとも私をリアル世界でつかまえてこっそり聞いてくださるか、Twitterで #garake_kaikoroku ハッシュタグをつけてツイートしてくださると嬉しいです。

これからも様々な経歴を持った方々と様々な場所でお会いして学んでいきたいです。よろしくお願いします。

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