「ゆでたまご」でまわす情報ネットワーク

こんにちは。引き続きゆでたまごが大好きな おがた です。

以前書いた『なぜ「ホウレンソウ」ではなく「ゆでたまご」なのか』が、面識のない方々にもTwitterでRTしていただいたり、無名な自分にしては結構な反響を呼んで驚きました。反駁や批判を覚悟していたのですが、好意的な意見は頂いたものの、批判的な意見は現状私が知る限り頂きませんでした。もしかしたら単に批判する層はスルーしてくださっただけかもしれません。

最近はFacebook等の「ソーシャルネットワーク」が全盛の時代。私も連日Facebookやmixiを使って知人とコミュニケーションを取り合ったりしています。

最近面白いなと思ったのは、Twitterの中の人はTwitter自身のことをソーシャルネットワークとは呼ばず「情報ネットワーク」と呼んでいるということでした。ソーシャルではなく情報。何が違うのか。MentionやReply等で多人数コミュニケーションも取れるけど、あくまでTwitterはソーシャルがメインではなく、情報を扱うプラットフォームなのだという自負なのでしょうか。

最近良く思うことがあって、それは「Twitterとブログは互いに補い合う関係でもあり、互いに似た部分もある」ということです。補い合う関係は、短文しか投稿できないTwitterと、長文を投稿できるブログという側面。似た部分は、どちらもアカウント登録無しでオープンに閲覧が可能な点。

もちろん、Twitterを「承前」でつなげていけば実質140*n文字の投稿(ちなみにTwitterの1日あたりのツイート制限があるので、nはたぶん1000以下です)ができますが、長文はブログ等にまとめて書いてURLをTwitterに貼りつけておいたほうが読みやすい場合が多いのではないでしょうか。

また、アカウント登録無しに閲覧が可能というのが、Twitterとブログの似ているところだと思います。今回は鍵付きTwitterアカウントは今回は考察しないことにします。「いまどきTwitterにアカウントの無い人なんているの?情弱?」と一蹴するのは簡単ですが、私の知人には「いわゆるガラケーと呼ばれるようになったケータイでメールやウェブを巡るのが精一杯」という人が確実にいて、実際そういう人達にとってアカウント登録という作業は相当大きな障壁なのです。だからこそケータイ公式サイトの登録フローの簡単さは革新的だったわけです。その簡単フローで食ったことのある・食っている人は、そのような人達をないがしろにはできないでしょう。その辺り、これからのスマホ時代にどうなるのか興味のあるところではありますが、その話については次回に譲ります。

Google+も深いURLを教えてもらえれば、全体公開の投稿は全くのログイン無しに閲覧できるのですが、Facebookも含めてここでは「ソーシャルネットワーク」サイトに分類されるサイトは割愛したいと思います。どちらも可能性の大きい素晴らしいサイトであることは間違いありません。

ちょうどよい閉鎖性があるソーシャルネットワークサイトの居心地の良さは、毎日Facebookを見るようになった私も認めるところですが、そこには以下の弱点があると思います。

とにかくソーシャルネットワークサイトは情報が短命

Google+は多少の過去の情報の検索ができるようですが、Facebookには友達の大昔の投稿を検索する方法は私が探した限りでは現状存在しないようです。Facebookでも友達から有用な情報がもたらされることが多々ありますが、一度とりこぼしてしまうと記憶の断片があっても遠い過去の投稿を検索を使って探すことはできないことになります。ひたすらその友達のウォール/タイムラインをたどる方法ならあるかもしれませんが。

それこそTwitterも大量の情報が滝のように流れている場所であり、同じように情報が刹那といえますが、Twitterにはエコシステムがいろいろあって、Twilogのような個人のログ蓄積サービスから、Togetterのようなまとめ(キュレーション)サイトがあり、その欠点を解消してくれています。Facebookも注目を引く情報は「シェア」され継がれて、時の流れの中で「生き続ける」ことができますが、Twitterの公式RTのほうがこの点でも有利なように思えます。理由はよくわかりませんし、私がそう思うだけ(この記事全体もつまるところ私がそう思うだけ)なのかもしれませんが、操作のカジュアルさの違いなのでしょうか。

そういう意味では「Twitterは情報ネットワーク」という言葉に妙に納得してしまう私なのでした。同様に検索サイトにインデクスされて、長い間多くの人達に参照される可能性のある多くのブログも情報ネットワークに似たものを感じます

さて、前段が長くなってしまいましたが、「ゆでたまご」で情報ネットワークをまわして、多くの人にオープンな情報を提供していくにはどうすればよいか、ここからはサクサク持論を展開していきます。あくまで「ゆでたまご」自体が私の創作でしかないので、もちろん他の方法論も様々かと思いますが、「最近Twitterばかりでブログ書いていないなぁ」と漠然と思っている人への何かのきっかけになれば幸いです。

ゆ:言っておく:Twitterで発言しておく

まず「ゆ:言っておく」は、単純に「Twitterで発言しておく」。ただ、Twitterも1日に「ビール飲みたい」「腹減った」「うなぎ食べたい」とか何十何百ツイートもしていると、確実にフォロワーにウザがられること間違いなし。

意識して有用な発言ばかりしろとは私も偉そうで言えないです。息抜きの発言やReplyで会話を楽しむのもTwitterの楽しみ方なのは間違いありません。ただ、後でブログにしたいネタの種のようなものをメモ的につぶやいてみると、それに興味がある人がReplyしてくれたりRTしてくれたり、反響が分かってブログを書いて反響を得られるかの事前リサーチになると感じます。

まぁ、私の場合は、反響があろうとなかろうと、書きたいことをブログに書いているだけなのですが…;。私にとっては、Twitterも未来の自分へのメモ、ブログも未来への自分のメモ、だと位置づけています。この記事だって一番の読者はたぶん未来の私です。「個人的なメモはチラシの裏にでも書いておけ」と言われればそれまでですが、その情報で助かる人もいるかもしれないこの世の中、オープンにして害悪になるので無いのであれば、そういうのも悪くない。あなたのブログの一番の読者もあなた自身かもしれません。知りたいことを検索して冒頭に出てきた記事が以前自分が書いたブログ記事だった、という話は実は結構よく聞く話。

そういう意味ではFacebookやGoogle+、そしてmixi等のソーシャルネットワークサイトに投稿する内容は、あくまで他者へ向けた刹那的な情報、そしてそれに連なるであろう他者とのコミュニケーションを楽しむための情報であり、それらのサイトの機能的な制限から、未来の自分へのメモにはならないのが現状です。特にそれが悪いと言っているわけではありません。あくまでそういう性質を持っているのではないかという考察の一つに過ぎません。

私がTwitterをメモとして利用して、後で自分のツイートを検索できるようにするために使っているツールはTwilogTwistoryの2つです。これについての話も個人的に興味深いので次回以降ブログでご紹介出来ればと思います。

で:できないことも言っておく:Twitterで発言しておく

意外にTwitterで重宝がられる情報は「できないこと」なのではないかと思います。

あ、ここでいっているのは「挫折ツイート」や「自己嫌悪ツイート」等の類ではありません。例えば

  • 電車が止まって駅で待ちぼうけ
  • 渋滞していてバスが動かない
  • 地震や雷でうちの地域のライフラインが寸断されている
  • さっきリリースされたソフト◯◯を入れるとフリーズする
  • 今やっている◯◯がどうも上手くいかない

等々。東日本大震災でTwitterが役に立ったのも、受け手を選ばずリアルタイムにこのような情報を発信できたからなのかもしれません。

私もバスの渋滞情報をTwitterに投稿して、見知らぬ人が災難を回避できた例もありました。また、今作業していることが上手くいかないと投稿してアドバイスをもらえたこともありました。

あまり「教えて君」になってはいけませんが、教えてとは言わず、できないという事実を伝えるだけであれば嫌味も減って、アドバイスをもらえるラッキーなこともたまにはあるでしょう。それに期待しすぎてはいけませんし、自分が投稿した情報に対する見返りを求めてもいけません。世の中は長い目で見てギブアンドテイクなのです。困っている人のツイートを見て自分が解決策を持っている場合は、おせっかいにならない範囲で教えることって良いことだと思いませんか。

できないことツイートが後々ブログのネタになることは少ないかもしれませんが、できないことに対するアドバイスをもらえたのであれば、同じようにできないことで困っている人がいるかもしれないということです。その人達のためにブログを書いて検索サイトから来てくれて問題解決の一助になるだけでも素晴らしいことだと思いませんか。

た:確かめる:デマの類を拡散しない

TwitterはRTなど拡散手段がカジュアルで手軽です。また、2ch等のデマだらけのインターネット時代を経験したことのない若い世代も多く参加しているためか、ものすごい勢いでデマの類が拡散されていくことが度々あるように見受けられます。公式RTならメール時代のチェーンメール問題のような資源の食いつぶしは起こらない(Twitter社にとっては迷惑?)にしても、特に【拡散希望】と書かれたものに私はあまり良い印象を抱きません。

最初から悪意のある人でない限り、間違った情報を広めようとする人はいないでしょう。Twitterだからブログだからというわけでなく、情報源が正しいかといったことを把握するために、常に一次情報源(ソース)を確認する癖をつけたいです。

ま:まとめる:ブログを書く

「ゆ:言っておく:Twitterで発言しておく」でも言及した通り、Twitterで発言した内容を見返してみて、人々の反響や自信の執筆欲からブログのネタになりそうなものを選びます

Twitterの発言がTwilogで保持できたとしても、承前を繰り返してTogetterで自分自身の発言をまとめたりしても、やはりブログで文章をきれいに推敲して書いたもののほうが読みやすいのではないでしょうか。同じ論説をしたとしても、推敲してまとめたブログ記事のほうがTogetterのまとめよりも検索エンジンの順位的にも優位な気がします。SEOをしようと言っているわけではなく、せっかくあなたが書いた貴重な情報へアクセスできる人が一人でも多いほうが、みんなが嬉しいと思います。

ご:誤解がないように務める:誤解がないように務める

最後はまさに字句通り。「ご:誤解がないように務める」。

Twitterは短文ゆえに誤解が生まれるケースもあるでしょう。ブログだって長短関わらず同じ文章ですから、誤解を完全に避けては通れません。

私のブログだけでなく私の言動は、私個人の意見の表明や「方法論の一つ」に過ぎないのであって、よほど明言していない限り「意見の押し付け」にならないように気をつけて文章を書いているつもりです。脱法行為や倫理観の欠如等は別ですが、たかが私が思いついた方法論の一つに過ぎないことを押し付けても仕方がないことです。そういった「意見の押し付け」をすることで、他者が自信の方法論を否定されたと感じて誤解が生まれるケースは一番避けたいと思っています。私の意見は、都合の良い気に入ったところだけつまみ食いしていただけるのが一番嬉しい。もちろん、会社や学校などの規律社会の中での発言はまた別ではあります。

自戒を込めて言う事ですが、特に誤解が生まれやすいのは「暗に他者を批判したりする」ケースではないでしょうか。誰かを暗に名指ししてネガティブな事を書いてしまった場合、本当は違うのに、特に知人が書いたものだと読んだ人は自分が批判されたのかもと心配になる。私も若い頃は皮肉も込めてそういう文章を書いて、色々な人から避けられたり嫌われたりした苦い思い出があります。それなら、そういうネガティブな文章は書くべきではない、それでも書きたいのであればいっそ個人情報が許す限りハッキリ書いてしまうかしたほうがいいです。後者の場合であれば、分からない人には少なくとも自分ではない、分かる人には自分ではないあの人だと分かる、という風になっていれば、嫌われる可能性があるのはハッキリ断定した当人とそのシンパくらいです。その人達なら、こちらから嫌われてもいいと諦めが付くでしょう。

誤解はネガティブな文章から生まれることが多いと思います。ネガティブな文章は書かないに越したことはありません。私もすぐネガティブ思考に陥ってしまい困ることが多いですが、何か具合が悪いことを人や環境のせいにしたりせず、せっかくの人生ポジティブに行きたいですね。

最後に

なんだか免責事項のように繰り返してクドイ感じもしますが、この記事もこのブログも、私が考えた方法論の一つでしかありませんし、決してすべてを万人に押し付けようとしてはいません。誤解がないように務めるが故、文章が冗長になりすぎるのも私の良くない癖だなと感じているので、これについても精進しようと思います。

中段に書いたことに戻りますが「最近Twitterばかりでブログ書いていないなぁ」という方へ、これは面白いなと思った部分をつまみ食いして参考にしていただければ、これほど著者が嬉しいことはありません。

みなさんの素敵なTwitterライフ・ブログライフを願っています。それではまた。

NMLノート 2012年1月版

こんにちは。2月になって心新たに邁進していきたいと考えている おがた です。

以前からEvernoteに書いていた「NMLノート」を2012年になってから1ヶ月単位でブログで公開することにしようかなと思い立ちました。今回が記念すべき1回目。

「NMLって何?」という方に説明。時々Twitterで私がつぶやいたりしていますが、正式名称は NAXOS Music Library月額1890円でNAXOS自身をはじめとした40,000枚以上のクラシック音楽(と一部ジャズ音楽)の膨大なライブラリが聴き放題となるサービスです。これは安い。とても安いと言われているNAXOSのCDでさえ1000円弱なので、1ヶ月2枚聴けば元が取れる計算になります。

CDにお金を払うことに特段の抵抗はないのですが、買ってきたCDをリッピングする手間、クラシック音楽特有のデジタル管理上の諸問題(後述)、そして買ってきたCDを保管する場所の確保の問題や売る手間…、といったことを諸々勘案した結果、月額1890円のNMLに加入して、クラシック音楽のCDは原則的に買わない・借りない事にしました。

上述で「クラシック音楽特有のデジタル管理上の諸問題」と書きましたが、クラシック音楽が持つ情報は他のジャンルの音楽よりも特に複雑だと感じます。例えばベートーヴェンの有名な第5交響曲(いわゆる「運命」)一つを取っても、演奏家違いの同じアルバムが大量にあったりします。協奏曲となると、指揮者・独奏者・オーケストラと演奏家が増えて、とてもアーティスト欄の一行で管理しきれません。同じ悩みを持っている人やこういう問題を放り投げた人が世の中には様々おられるようで、CDDBから降ってくる情報に一定のフォーマットとはあるとは到底言えず、時に全く適当な情報さえ降ってくる始末。結局、自分ルールを作って曲名を手動入力していくことになるのです。これが結構骨が折れる。でもそうしないと後で一定のルールで探せない。であれば、いっそのことCDから完全に離れて、NMLや生演奏に行こうではないか。そういう風に思ったのです。

ちなみに、クラシック音楽以外の音楽については、iTunesストアを利用したり、オンラインレンタルサービスでCDをレンタルしたりしています。でも、保管コストを考えてCDを買うことは本当に稀になりました。買うCDと言えば、iTunesストアにもオンラインレンタルサービスにも無いCDでどうしても欲しいもの、またはNMLで相当ヘビロテしているクラシック音楽のCDくらいです。

余談はこのくらいにして、2011年1月にNMLで聴いたアルバムをご紹介します。今月はそれほど聴いていません。

ビレット・コンチェルト・エディション 1 – シューマン:ピアノ協奏曲/グリーグ:ピアノ協奏曲(ビルケント響/ヴィト)

http://ml.naxos.jp/album/8.571270 (2012/01/09)

NML-8.571270

王道のカップリングですね。シューマンとグリーグのピアノ協奏曲イ短調。私のGoogle日本語入力なんて、「ピアノ協奏曲」と打った時点で「イ短調」が補完されるくらい。グリーグは先輩であるシューマンのピアノ協奏曲を参考に同じイ短調のピアノ協奏曲を作ったと言われるくらいなんですよ。

私はあまり演奏家チョイスはしないので、演奏家のことはよくわかっていないのですが、両方の曲の第3楽章の盛り上がりは名演だと思いました。

帯紹介文より:協奏曲のレパートリーだけでも100 曲以上。驚異のレパートリーを誇るトルコの女性ピアニスト、イディル・ビレット。ここでは、極めてオーソドックスな2 つの協奏曲を華麗に弾きこなします。2 曲とも、滝のようになだれ落ちる冒頭のパッセージが魅力的ですが、陰鬱さの中に激しい情熱を秘めたシューマン、凛とした表情と熱い心を併せ持つグリーグと、その表現はかなり違いを際立たせないといけません。ビレットの演奏は全く文句なし。そして、オーケストラをまとめるのはNAXOS きっての名手、アントニ・ヴィト。どちらの曲も終楽章の盛り上がりが半端ではありません。

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ディッタースドルフ:3つの標題シンフォニア(ファイローニ管/グロット)

http://ml.naxos.jp/album/8.553975 (2012/01/09)

NML-8.553975

私は「古典派」と呼ばれる時代のクラシック音楽が好きなのですが、「古典派」の作曲家で知られているのは、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンくらいで、その他の作曲家はすっかり歴史の中に埋もれてしまっています。古典派の前の「バロック時代」や、後の「ロマン派」はよく知られた作曲家が多いのに…、と子供の頃から不思議に思っていました。実際、他の時代と同じくらいの時代のはず。それもそのはず。クラシック音楽の商業主義の中では、売れる知名度の高い曲ばかり演奏者を変えて出すという風習がありました。NAXOSというレーベルは、演奏家や作曲家の知名度が低くても良い曲であれば積極的にアルバムにしていこう、という素晴らしい旗印のもと立ち上げられたレーベルです。

このディッタースドルフも古典派の作曲家ですが全くといっていいほど知名度がありません。NMLを漁っていて、たまたま見つけたようなもの。でも、このシンフォニアは聴き心地がよかったです。ディッタースドルフの他の曲も開拓していこうと思いました。

帯紹介文より:ウィーン生まれの作曲家、ディッタースドルフは極めて多くの作品を残しましたが、ほぼ同時代のハイドンに比すと、その僅かな古臭さのゆえか、無視された存在になりがちです。しかし実のところその作品は、ハイドン顔負けの新奇性が聴くものを驚かせるほど、フレッシュな魅力に溢れています。「感情の戦い」の「狂気」や「憂鬱」といった楽章で半音階的進行を交えながらの暗い響き、「作曲家の錯乱」(凄いタイトル!)冒頭での激しいシンコペーションには、ドッキリするものがあります。一方舞曲調の曲が中心ということもあり、明るい楽章はどれもウキウキするような音楽です。

ハイドンやモーツァルトは名曲中の名曲をいくつも作ったことは事実ですし、もちろん悪態つくわけではないのですが、彼らの駆け出し時代に作られた素人の色がまだ垣間見える曲を商業主義がフィーチャーするのであれば、こういう歴史に埋もれてしまった古典派の作曲家の円熟期の作品ももっと掘り出して欲しいと思います。その点においてNAXOSの姿勢は素晴らしい限りです。

モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」, 第40番

http://ml.naxos.jp/album/7082 (2012/01/22)

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モーツァルトの後期交響曲の傑作の2曲。

もちろん、CDも何枚も持っていてリッピングもしているほどの有名曲ですが、プラハの第一楽章で演奏と音源が良くて、疾走感を感じるほどの速度で演奏された曲がないか探してみて見つけたのがこの一枚。

後期から晩年にかけてモーツァルトの交響曲のフーガといえば最後の第41番「ジュピター」の最終楽章が有名で、本当に神がかった名曲だと思います。フーガ好きで古典派好きにとっては何度聴いても夢ごこち。ただ、プラハも第1楽章の展開部で展開されるフーガ(フガート?)も緊張感があって好きです。遅い速度の演奏もありますが、その展開部が活き活きとして聴こえるのは適度に速度のある演奏だなぁとこの一枚を聴いて思った次第です。

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シューマン:ピアノ協奏曲/ドヴォルザーク:ピアノ協奏曲(ヘルムヘン/ストラスブール・フィル/アルブレヒト)

http://ml.naxos.jp/album/ptc5186333 (2012/01/22)

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ドヴォルザークのピアノ協奏曲が聴きたくなって、検索して一番上のものをチョイス。名演かどうかはよく分からないけど、音源は良かったです。シューマンのカップリングのほうもツボを押さえたオーソドックスな良い演奏。しかし、このカップリングは珍しいですね。普通なら前述のようにグリーグがきそうなものなのに。

ちなみに、ドヴォルザークは交響曲作家として有名です。日本では第9番の「新世界より」がとても人気。そのいくつものフレーズを聴いたことがない人が居ないくらいです(第2楽章の「家路」や、第4楽章の冒頭等)。協奏曲としてはチェロ協奏曲が特に有名ですが、その他の協奏曲はあまり注目されず演奏頻度も低いようです。確かに、私も生演奏で聴いたドヴォルザークの協奏曲はチェロ協奏曲だけかも。チェロ協奏曲には劣るかもしれませんが、ピアノ協奏曲もドヴォルザークの面目躍如が散りばめられた名曲だと思います。

ハイドン:鍵盤のための協奏曲集(ショルンスハイム/デュッセルドルファー・ホーフムジーク/ウティガー)

http://ml.naxos.jp/album/c5022 (2012/01/23)

NML-c5022

古典派の作曲家の協奏曲を聴こう!という一環。

古典派の時代は、鍵盤楽器が入れ替わった時代でもありました。オルガンやチェンバロ(ハープシコード)が主流だった時代に、当時のピアノ(フォルテピアノ)が入ってきました。まだ当時のピアノは今のピアノような豊かな音色ではなく、ちょっと乾いたような音色です。

ピアノがない時代に作曲されたバロック時代のバッハの「チェンバロ協奏曲」を「ピアノ協奏曲」として演奏したりといったアルバムは多い(チェンバロ奏者よりもピアノ奏者のほうが大量にいるでしょうから)ですが、個人的にはちょっとなぁ…と思います。全て古楽器を使えとは言いませんが、チェンバロとピアノは完全に別だろうと。

このアルバムを聴こうと思ったのは、写真にも顔を出しているショルンスハイムさん。フォルテピアノ、オルガン、チェンバロと、マジ演奏多彩。帯紹介文によると音楽学者でもあるらしい。しかも音を聴いた限りでは当時のピアノを使っているっぽい。同じ鍵盤楽器だと言えど、ここまでプロとして各楽器を演奏出来る人はいませんし、過渡期だったハイドンの協奏曲を当時の楽器で演奏しようとしているその姿勢は素晴らしいと思います。今後もウォッチしたいです。

帯紹介文より:ハイドンのピアノ・ソナタ全曲演奏に偉大なる金字塔を打ち立てたショルンスハイム、今回は協奏曲で目覚ましい活躍ぶりを見せてくれます。2009年のハイドン・イヤーに合わせて録音されたこのアルバムでは、彼女は3種類の楽器を弾き分け、各々の曲の美質を明らかにします。国際的に音楽学者としても名高い彼女だけに、楽器の特性を存分に生かした輝かしい演奏と解釈は、かなりのハイドン通でさえうならせること間違いありません。グルックやホミリウスなどの録音で高い評価を受けている新デュッセルドルフ宮廷楽団のバックも冴えています。指揮をしているのはヴァイオリニストでもあるウィスコンシン生まれのメアリー・ウティガー。ムジカ・アンティクワ・ケルンやレザデューなどのバロック・アンサンブルと共演を重ねる実力派です。

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チャイコフスキー:交響曲第2番「小ロシア」, 第3番「ポーランド」(ソビエト文化省響/ロジェストヴェンスキー)

http://ml.naxos.jp/album/ALC1103 (2012/01/31)

nml-20121-5

NAXOS推薦盤だったのでチョイス。古典派だけでなくチャイコフスキーのような後期ロマン派も大好物です。とくに第3番は大好きな部類。確かに録音も良い。

チャイコフスキーといえば、4番、5番、6番の三大交響曲が有名で演奏機会も多いですが、若い番号の交響曲も好きです。4〜6番は自分の心境を表した曲だとすれば、1〜3番を例えるなら郷土愛に溢れているようにも思えます。

…と、1月に聴いたNMLノートでした。せっかく聴き放題で1890円払っているので、苦手な曲を聴く・接するという機会も込めて、NML上で定期的に流されるNAXOSの推薦盤ももっと聴いてみようと思いました。

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Evernoteに「挫折」なんて無い

こんにちは、ライフハックや仕事術の方法論を考えるのが好きな おがた です。

昨年参加したイベントでのプレゼンテーション発表の際に、デスクトップをプロジェクターに投影するテストを行っていたときにEvernoteのウィンドウが映って、イベントの終了後に「Evernote使っているんですね」と話しかけられました。

それこそ世の中の「ライフハック」のサイトやブログには「Evernoteはこう使う」「Evernoteにあらゆる情報を放り込む」といった話題が毎日のように投稿されています。そんな中、私のEvernoteの使い方は…

「オンライン対応のメモ帳」

…くらいの使い方しかしていません。「使っているんですね」と言われて大した使い方をしていないことを正直に打ち明けたのが恥ずかしいくらい。それでも便利です。自宅のWindowsマシン上のEvernoteでメモした内容が、普段作業用のMacBook Air上のEvernoteで見られるし、その逆もできる。さらにiPhoneでも読み書きできる。それだけで満足なんです。

使っていくうちに、少しずつ機能を開拓して行くこともできました。私にも多少の学習能力があったようです。ただ、機能を開拓したと言っても、いくつかのタグを作ったことと、頻繁に見るバスの時刻表をウェブクリップしたことくらい。アイデアメモをのノートを作ってアイデアを書き溜めるとか、NMLで聴いたクラシック音楽の感想を書き溜めるノートを作ったとか、別にEvernoteでなくともテキストファイルとメモ帳をフォルダに分類するだけでもいいくらいです。ジャケット画像をノート中に取り込むくらいはできて、メモ帳以上のことがWikiやブログよりも手軽にできることに少々驚きました。でも使う動機の一番は、オンライン対応でEvernoteを入れたどの端末でも同じものが見られる、それがいい。大した量のデータも入れないので、当然ながら無料プランです。

こと、一昔前からの「ライフハック」ブームで、ライフハックサイトやライフハックブログは日々増加、それこそアルファブロガーによって注目のサービスやアプリは徹底的に使いこなし術が開拓され、さらに次々にリリースされるアプリやサービスをことごとく拾って使って紹介していく。いささか情報過多とも思える時代のような気もします。個人的に残念ではありますが、そもそも「ライフハック」という言葉自体が既に使い尽くされバズワード化しつつあるとも思えます。

特にEvernoteの場合、注目されているサービスだけあって、巷で紹介されている「使いこなし術」の多さは驚くべきものがあります。今やパソコン雑誌やビジネス雑誌の記事だけでなく、Evernoteの書籍が何冊も登場しているくらいです。必然的にそういう情報を見たりしますが、個人的感想として「ちょっとやり過ぎでは…」と思う使い方もあったりします。

ライフハック全般に言えることなのですが、これらの情報を「あるべき論」と捉えて、それを試みたものの出来ないから「自分はダメだ」と思う風潮もあるようですが、それは違うと思います。本来は方法論の一つでしかないはずなのですが、著者の思い入れの強さからか「あるべき論」にしか見えない記事も少なくありません。それが原因か、ライフハックサイトに書かれた膨大なEvernote使いこなし術に圧倒されて、「Evernoteに挫折」という概念まで生まれているようです。

本来は、多くの使い方、多くの機能の紹介の中から、自分が必要だと思った機能だけ使えればいいじゃないですか。そして自分に必要が無ければ使わなければいいだけ。探せば自分に合った代替はきっとあります。もしかしたらそれはアナログツールかもしれない。

多くの人が使っているソフトウェアを例に挙げれば、Windowsのメモ帳に「挫折」する人がいないように、また膨大な機能があってそれを森羅万象を知り尽くして使いこなしている人が世界中に何人いるのかと思わせるWordやExcelに「挫折」する人がいないように、Evernoteに「挫折」することはおかしいことです。メモ帳が低機能だから使わなくなったからと言って「挫折」したわけでもないですし、Excel全体のほんの少しの機能しか使えないからと言って「挫折」したわけでもないでしょう。

「Evernoteに挫折」することは、「Excelの森羅万象の機能を使わないとExcelを使ったことにならない、という無理難題を真に受けてExcelを触るのが嫌になる暗示をかけられる」という比喩に似たものがあると思います。今まで述べてきたことを振り返れば、Evernoteに「挫折」なんて無い。いかがでしょうか。

この記事を書く際に特に参考にしたわけではありませんが、TogetterにEvernoteと挫折についてというまとめがあります。様々な方の意見がまとめられており興味深いです。

最後に。自己言及的でありますが、今まで述べたことも「あるべき論」ではなく「方法論の一つ」に過ぎない、私という一個人の考えの一つに過ぎないことも心に留めておいてください。Evernoteはオンライン対応のメモ帳程度のように使わないといけない訳でもありませんし、Evernote使いこなし術に邁進してもいいし、Evernoteなんて存在そのものを忘れてもいい。この私の考えの中で面白い・興味深いと思う部分だけを「つまみ食い」してくれれば嬉しいだけです。

私もそうですが、この情報過多の時代、全てを取り込もうとして消化不良になりがちです。気楽に情報の取捨選択をして、自分にあったものだけを取り入れるだけでいいんだと思います。私もしばらくはEvernoteを使い続けて、余裕があれば少しずつ使ったことの無い機能を試してみようと思います。

今のIT時代は情報の量もスピードも圧倒的ですが、急いだり焦ったりせず、でも着実に少しずつ成長していこうではありませんか。

なぜ「ホウレンソウ」ではなく「ゆでたまご」なのか

こんにちは、食べ物でも「ゆでたまご」が好きな おがた です。

以前、「ホウレンソウ」が嫌いとTwitterに投稿をしました。

[tweet https://twitter.com/xtetsuji/status/159143577241399296]

正直、投稿するとき「社会人の基本をないがしろにしやがって」とか批判されるんじゃないかと内心ビクビクしていましたが、TwitterでもFacebookでも好意的な意見ばかりで安心しました。

その後に、フォローの意味を込めてこんな投稿をしました。

[tweet https://twitter.com/xtetsuji/status/159146287428677632]

画像からも分かる通り、2009年3月に私自身が考え出したもの。

Twitterでは余白が少なくて語れなかったことですが、なぜ「ホウレンソウ」ではなく「ゆでたまご」なのか。これは書きたいと思っていたことなので、このブログに書いておこうと思います。

なお、以下はあくまで個人的な感想です。真っ向から「ホウレンソウ」という言葉を滅ぼしてやろうとか、そういうことは思っていません。批判や改善点は好意的に受け入れいますが、どうか若造の戯言だと思って優しく読んでやってください。

「ホウレンソウ」のダメなところ

非常に個人的な感情かもしれませんが、「ホウレンソウ」という言葉はお偉い上層部の人達が下々の部下から楽して情報を引き出すという文脈で使い古されていることが最もダメだと思う点でしょうか。

よく考えてみると、部下が上司に対して「〇〇(上司の名前)さんは「ホウレンソウ」がなってないよなぁ」という文脈で「ホウレンソウ」という言葉が使われることって無いですよね。これが「下から上へ楽して」を体よく表現した「ホウレンソウ」の真実。でも、実際にマネジメント能力が欠如した上司や、すぐに仕事を抱え込んで部下に秘密を作ってしまう上司というものが確実にいて、部下に情報を下ろしてくれないという事態は意外と存在します。当然ながら、会社という組織をまわすためには上司が部下に対しても情報を提供する義務はあるわけです。「ホウレンソウ」という言葉は、生ぬるい文脈で使われ続けてしまい、そういうことすら言及できていない。既に腐っている。そう思えるわけです。

次に、これには反論も多いかと思いますが、「報告」と「連絡」の違いが曖昧、それを明確にしたところで「報告」も「連絡」も今のITの世の中では使うツールの違いでしかない、という点。

確かNHKの「会社の星」という番組でしょうか。20代の若い新入社員に社会人のイロハを教える番組。そこで「ホウレンソウ」の特集が組まれていた回があって観ていたのですが、そこに出てきた営業のお偉いさんらしき人が本気で最低でした。ここでは「営業部長」と呼ぶことにしましょう。

その営業部長は常に国内や海外を飛び回っているらしく、会社にいることは本当に稀。で、会社に帰ってくると、たくさんの部下がその営業部長に「ホウレンソウ」をしに行くという絵面でした。それだけなら忙しくて儲かっていそうな会社だなぁ程度の感想でしかないのですが、問題なのはその営業部長の偉そうなこと偉そうなこと。部下の報告がダメだと一蹴すること一度や二度ではない。部下のインタビューを聞いても、ある種神格化されて恐れられているんだなと思わせる印象。そのために、その営業部長が帰ってくる前から、部下たちはいかに手短に的確に報告ができるか、必死に時間をかけて資料作りをしているという絵面だった記憶があります。

何が問題か。

  • 「ホウレンソウ」以前に、この営業部長は直属の部下が明らかに多すぎです。だって、自分が「ホウレンソウ」を「受信可能な時間」に明らかに部下のそれをさばききれていないんですから。比較的大規模な会社だったと絵から見受けられましたが、それを改善出来ていないことには組織的な問題が見え隠れします。「会社にいる時間を適度に短くすれば自分の神格化がされて既得利権を得られるからそうしている」と思われても仕方がないです。
  • 部下が「ホウレンソウ」の資料作りをする時間が無駄です。部下たちは営業部長を恐れているので、報告事項は相当時間を掛けて練りこんでいるようです。もう一度言います。時間の無駄です。
  • 無駄に叱りつけたり怒ったり無下に一蹴したりすることで、部下の相談意欲をそぎます。この手のタイプの人は、時々飲み会を催したりして「飴と鞭」を使い分けて人心掌握をする傾向にありますが、それでも私はこんな上司に積極的に相談したくありません。
  • なぜこの営業部長は、会社に居ない時間に部下の「ホウレンソウ」を受信しないのでしょうか。まぁ、緊急の場合は電話くらいは使える脳みそはあるのでしょうが、移動中は常に忙しいのでしょうか。そんなことはないでしょう。部下から、メールでもいいしIMでもいいし、もっと良いのはCMSの類でも導入して、随時部下からの「ホウレンソウ」を聴くことです。長い報告を体裁をまとめて…では、部下の時間が無駄です。そこには「まとめ方が悪い」「時間がないんだ手短に話せ」という新たな怒りの種も生まれてくることでしょう。それとも単に部下に怒り散らしたいだけなんじゃないでしょうかとすら思えてくる。随時どこに居ようとも、本当にリアルタイムに一行「△△を現在進行中」「□□で行き詰まっている」というストリームが各部下から飛んでくるような仕組みを作ったほうが、その「単なる一行の事実」には無駄に怒る要素が入ることも少ないだろうし(怒ることで神格化や既得利権を進めようとしているのなら別ですが)、部下の時間も確実に節約できます。その「情報の洪水」を捌けないのだとしたら、IT時代の落伍者です。さようなら。

こう並べてみると、IT社会の現在での「ホウレンソウ」特に「報告」と「連絡」はツールの使い方をどうするか、なのだと思います。

報告?簡単に言えばメールを使えばいいですよね。メールが重いと思うならIM、さらにいいのは社内Twitter(Yammerとか)のようなものやIRCがあるといい。私の知らないもっと良いツールがあるかもしれない。連絡だって、グループウェアの選択肢は相当あるし、Google Appsなら無料で使える時代。持っているケータイがガラケーやらくらくホンでも、外から会社のメールをセキュア見るサービスがある時代なんですよ!それくらい金をかけて何とかしなさいと言いたい。そうでなきゃ、組織を変えて部下を減らして、もっと対面で部下と「ホウレンソウ」が出来る環境を構築すべきです。

こう俯瞰していくと、本当に悪く言ってしまえば、「ホウレンソウ」という概念は老害が若造を叩くためのバズワードに成り下がっていると思わざるを得ません。

「報告」と「連絡」は対面で話せないのであればITツールの使い方に移譲できると話を持って行きましたが、心情面が重要な「相談」はツールだけでは解決できないものでしょうね。そもそも「相談」を聴かない上司(最悪「俺そんなこと知らないし」と真顔で他人台詞を吐く上司は世の中にいる)をどうするか「ホウレンソウ」は回答を示してくれません。だって、「ホウレンソウ」は「おかみ」のためのバズワードなのですから。ただ、あまりにも普段から怒り散らしていたり他人事のようにしていたら、相談意欲がそがれるのは明らかです。もちろん、部下の失態にも怒る要素があることはままありますが、これは前述のように「報告」「連絡」を綿密に行う(行ってもらう)ことで多少は解決できることではないでしょうか。

勘違いしないで欲しいのは、「部下を甘やかせ」と言っているわけではないのです。ただ、わざわざ自分の怒りを増長するような貧相な「ホウレン環境」の中で無駄に怒るのは損だと言っているだけです。自戒の意味を込めて言うことですが、仕事云々関係なく怒るということは損です。私も(万年平社員なので部下を持ったことは今まで一度も無いものの)ダメな後輩を叱った事はありますが、それは最終手段でしたし、後輩が至らない部分は最後まで優しく導いたつもりです。そうしないと、常日頃から怒り散らしている人に積極的に相談したいと思う人なんて、そうそう居ないでしょう。

ここまでのまとめ

  • 報告:対面で話そう。対面で話せる時間が無いのであればIT技術を使って何とかしよう。
  • 連絡:グループウェアを使おう。
  • 相談:怒ることは損。相談を遠ざけるどころか人望すらを下げる。

「ホウレンソウ」にはカバーできない領域があることが見えてきました。

「ゆでたまご」の登場

色々な体験の中で「ホウレンソウ」は使えないなと思ったわけですが、何かを否定するのであれば代替案をあげなければならないのは世の常だと思うのです。そこで「ホウレンソウ」に足りないものはなんなのか考えました。また「ホウレンソウ」と同様に、標語っぽく頭文字を並べて食べ物の名前として覚えられるものがいいなと思って思索を巡らせていたら、手元にあったのがコンビニで買ってきた「ゆでたまご」でした。

「報告も連絡も何らかの社内情報ストリームで言い放っておくでいいよなぁ」とか、「言い放った大量の言葉を検索する仕組みはITに譲るとしても、どこかでまとめないと、上司でもないけど後でその仕事を引き継いだ人が情報を得る時に困るよなぁ」とか、語呂合わせのために信頼している上司に仕事をする上で何が大切かヒアリングしたりしながら、ひとつの標語が完成しました。それが「ゆでたまご」です。

  • ゆ:言っておく
  • で:できなくても (報告などをしたり言っておく)
  • た:確かめる
  • ま:まとめる
  • ご:誤解がないように務める

この「ゆでたまご」は誰が誰に対しても心がけるべきこととして打ち立てました。なので、私のような万年平社員が上司に「ゆでたまご」をすることは当然として、上司も部下に対して「ゆでたまご」をして欲しい。そういう願いを込めました。作った私が「悪い文脈」で使うことをよしとしていないのでまだ腐ったりはしていないと自負していますが、そもそも今回Twitterで発言するまでは、社内どころか私の机を良く見る隣の上司くらいしか存在を知らない標語でしたから、現在進行形で新鮮です。

まずは「ゆ:言っておく」。最初から少し語呂合わせが強引ですが、ホウレンソウで言及されていた「報告」も「連絡」も、カナメはこれです。特に「声を出して言葉を出せ」というわけではなく「迅速に伝えろ」という意味合いを持たせています。うちの会社には社内IRC環境がありますが、私は日頃「◯◯開始しました」「◯◯終了しました」「〇〇簡単だった」「〇〇手ごわい」という発言をそこでバンバンしています(最近では私くらいしかしないのが寂しいのですが…)。上司はそれを見ていて、私が何をしているのかリアルタイムに把握できる。ひたすら事実を述べる短文をとにかく迅速に伝えることが大切です。この変化が激しい世の中、余程忙しいとかでない限り、これくらいの情報ストリームは出来る限り受け取って欲しいし受け取りたい。これを実現するツールにメールは少々「重い」ですが、物理的に同じ空間にいる場合には本当に声を出してこまめに伝えたりすることでITツールを使わなくても実現可能なことでしょう。ITツールで言えば、IMや、社内Twitter(Yammerとか)的なもの、おすすめなのはIRCがこれを実現させてくれるツールではないでしょうか。ITツールを使えば物理的距離が離れていても情報共有ができる(ツールにもよりますが)ことがメリットです。そして、アナログの対面対話であってもデジタルツールであっても逐一記録を残すことは重要です。メモを取るなり機械的にログを取るなりしておくべきです。これの実践によって膨大な情報ストリームが蓄積され一種の共有知が出来上がることを考えると、デジタルツールでのログ収拾を前提として、さらにそれに対して機械検索が出来るとなお良いでしょう。

そして「で:できなくても」。ホウレンソウは「報告」の重要性を説いていますが、特に組織が大きくなると都合の良いことしか報告をしないという人が必ず現れるようです。本当に大切な「報告」は、必要なこと全てを正しく報告すること。ホウレンソウはこれの曲解に言及していません。実際、昔某社でコテコテの大阪弁を発して開発の人間を恫喝してまわっていた営業部署で一番偉く海外の子会社のトップにまで登りつめたとある役員は、当時の社長に対して良いことのみ報告して、悪いことはひたすら隠し続けたそうです。ほどなくして、その周辺事業は徹底的に瓦解してその会社全体が傾くことになるのですが、これは「悪いこと」「できなかったこと」をひたすら隠して良いことだけを報告し続けた末路です。「で:できなくても」はできなかったこと等の悪いことも含めて必要なことは打ち明けようという「報告」であり「相談」でもあります。悪いことを溜め込んでしまうと打ち明けづらくなりますが、前述の「ゆ:言っておく」の迅速さとこまめさで言いやすくする狙いもあります。

ここまでは「伝える」ことに重点を置いてきましたが、次は「た:確かめる」です。「ゆ:言っておく」があまりに素早いと、いくらその情報ストリームを観察している人が卓越した情報処理能力を持っていても、忙しい等の理由で見逃すことがあるでしょう。私も大量の情報ストリームを漏れ無く把握する自信はありません。ある程度以上重要なことは本当に相手に伝わっているか確かめることは必要でしょう。また、自分が依頼されて作業していることや他の人に依頼した作業が間違った方向に進んでいないかも定期的に確かめることは大切です。「相談」はホウレンソウの実践者が問題意識を持ったときに初めて発生するフックのように語られることが多いように思えますが、「た:確かめる」はその点を定期的にレビューしようという意味合いも込めています。

こうして「ゆ:言っておく」から始まる活動で大量の情報ストリームが生成されるわけですが、その蓄積された情報は玉石混交です。また、その仕事は近い将来、別の人に引き継がれるのが世の常。その時に引き継ぎ先の人間や、時間を経てすっかり忘却した当時の作業者が、この備蓄された情報を時系列に追って必要な情報を拾い集めることは非常に労力を使うでしょう。また、情報ストリームをすべては追いきれない人や状況があることも考慮する必要があります。そのために、情報を定期的に「ま:まとめる」ことが大切です。日報・週報・月報の形でまとめるのも良いのですが、それらも結局時系列情報であり、時系列情報を追って当時の情報を再構成する事はそれなりに大変な作業です(ただ当時の雰囲気は味わえますけどね)。できればテーマごとに何らかの形で文書がまとまっていると望ましいです。堅い案件であればオフィス形式のファイルで作成した仕様書や作業書の形で、緩い案件であれば社内Wikiなどが候補となるでしょう。今のIT時代、全てを手書きで残す全面アナログ形式の「まとめ」は少ないかもしれませんが、アイデアベースで手書きしたホワイトボードの図や、印刷した紙資料等をファイリングしたりといったアナログ作業もおろそかにしてはいけません。昨今のインターネット用語にある「キュレーション」にも似たものがあると思いませんか。

そして最後に「ご:誤解がないように務める」。複数人で早い流れの仕事をしていると、どうしても誤解が発生するケースが出てきます。言葉の解釈の違いから、言った言わないの論争まで…。「た:確かめる」は「ゆ:言っておく」ことが相手に認識されているかの確認でありましたが、同時に誤解がないことの確認と捉えることもできるでしょう。それでも標語で繰り返しているのは、仕事に限らず広義のコミュニケーションには誤解がつきものだからです。こればかりは特定のITツールが解決してくれる問題ではなく、対面や会議での認識合わせや、日々相互理解に務めることが大切なのだと感じます。

…さて、「ゆでたまご」が言わんとしていることはこんな感じです。ブログとしてもとてつもなく長い記事にここまで付き合ってくれた方がいるとは到底思えないのですが、もしここまで読んでくださった方がいらっしゃったら本当にありがとうございます。

最後に一つ。食べ物の「ほうれん草」は大量摂取すると、それに含まれるシュウ酸によって体内に結石を発生させる要因となるらしいです。対して食べ物の「ゆで卵」は、卵のコレステロールが高いので「一日n個以上食べてはいけない」という昔話もありましたが、近年の医学や生物学では特にそういった制限は無いとされています。

あの板東英二が今も健康でいるので、「ゆでたまご」はどんどん皆さんのお仕事に取り入れていただいて問題無いと思いますよ!

b-mobile Fairのプランを1GB定額(30日)にしたらフェアじゃなくなった

2014/03/18 追記: 2014年3月現在、@nifty で契約した WiMAXを最低料金で補助回線として持ちつつ、ServersMan SIM LTE を入れたNexus 5で生活をしています。

………

こんにちは、帰省中の おがた です。

帰省中、実家にはインターネットの固定回線が無いので、ポータブルWi-Fiルータ「光ポータブル」に b-mobile Fair の SIM を入れてインターネットに接続しています。

モバイルデータ通信にも色々な選択肢がある昨今ですが、以下のような消去法で、現在は b-mobile Fair に落ち着いています。

  • ドコモのデータ通信→ランニングコストが高くて普段維持できない
  • e-mobile→実家が田舎なのでギリギリ圏内だけど、イラつくほど繋がらない
  • WiMAX→実家が田舎なので完全に圏外
  • 他の b-mobile シリーズ、U300=300Mbps、イオンSIM=100Mbps など→遅い。特にSSHやVPN等のステートフル通信では耐えられない遅さ

b-mobile はドコモのMVNOですし、手持ちのガラケードコモの電波がバリバリ入る実家で使えることはなんとなく分かっていたので最初はU300を所持して帰省したのですが、職業柄SSH無しでは生きられない自分にとっては、回線の遅さにSSHの遅さが加わって、とてもじゃないけど平穏に使える速さではありませんでした。ただEnterを押しただけでプロンプトが返ってくるまで数秒から十数秒待てますか?という話。

その後、e-caでイー・モバイル端末をレンタルして実家で使ってみましたが、本当にギリギリ圏内。よく切れる切れる。b-mobile U300 のほうがトータルでマシかと思ったほどでした(最終的には業を煮やしてU300のほうにした)。イー・モバイルにエリア改善を投稿してみましたが、その後どうなったかなぁ。

WiMAXは、帯広駅周辺以外は完全に圏外だったので、最初から諦めました。将来に期待。

というわけで b-mobile Fair に落ち着いたわけです。

b-mobile Fair は「通信のフェアなかたち。」をキャッチフレーズにしたデータ通信用SIM。要するに「定額制にすると一部の人間が調子にのってP2Pとか動画観たりとかやりたい放題するから、他のお客様に迷惑がかかる」というコンセプトで、ある種の従量制を敷いたもののようです。他の客へ迷惑がかからないというのもポイントですが、MVNOをしている通信事業者側から見た「フェア」であるなと思います。

b-mobile Fair の SIM には二種類の選べる料金体系があります。

  • 「Fair 1GB」 8,350円 → 通信量が1GBを越えるか、チャージ日から120日を経過するまで有効
  • 「1GB定額(30日)」 3,100円 → 通信量が1GBを越えるか、チャージ日から30日を経過するまで有効

通勤中に作業をするための普段使いとして Fair 1GB を契約しています。通勤中だけであれば、一ヶ月せいぜい250MBも使わないので1ヶ月あたり 8350/4=2088円 は非常にお得です。

ただ、帰省中はこれで四六時中通信をするので、一日100MB程度、多いときでは300MBほど使ってしまうようです(マイページから数時間前までの通信可能残量を確認できます)。今回の帰省中も、契約していた Fair 1GB が足りなくなってしまったので、一時的に 1GB定額(30日) に切り替えました。

まぁ、純粋な従量課金制ではありませんが、両方ともプリペイド的な従量課金制ではあります。通信すればするだけ天井無しに階段状に課金されていくことには変わりありません。「やりたい放題する人」は固定回線よりコストパフォーマンスの高い回線で金を払い続けるだけの話です。これぞフェアですね!

…というところもあり、b-mobile Fair の FAQ に「パケット通信を大量に行なった際のペナルティは設けていない」旨の記述があったので安心していたのですが、1GB定額(30日) を新たにチャージした後で来たメールにこんなことが書かれていました。

◆注意事項

・1GB定額サービスはオートチャージ専用サービスとなります。

・1GB定額サービスの有効期限終了後は、10日間のみオートチャージ設定することができます。(音声付サービスをご利用のお客様は、契約期間中はいつでもチャージを行うことができます。)

・当日を含む直近3日間の当日を含む直近3日間の通信量の合計が300万パケット(360MB相当)以上となった場合、通信の速度を制限します。

・P2Pアプリケーションなど、連続したデータ通信にはトラフィック制御を行う場合があります。

1番目と2番目はいいとして、3番目と4番目は「えー、聞いてないよ!」という話。

ちょっとこれは…と思って調べてみると、Fairと1GB定額は、同じSIMで選べるサービスであるけれど、実は全く違うサービスのようです。1GB定額SIMのほうのFAQには上記のようなことがFairとは別に書かれているのを発見しました

しかしまぁ、3日間360MB(1日120MB)って、固定回線の普段使い感覚で使えば、すぐに到達する額です。そのための 1GB定額(30日) じゃないの?と少し文句を言いたくなる気持ちをグッと抑えました。

また、4番目も私にとっては問題でした。「P2P」という言葉にネガティブな側面もあるけれど、私は普段大量通信をするP2Pアプリケーションを使わないので当初問題ないと思ったのですが、ここでいう「連続したデータ通信」ってステートフル通信全般を指すんじゃないか。つまり、私の生命線であるSSH等も当然入るだろうなと。普段はSSH圧縮をオンにした上で自宅のプロキシサーバを使ってウェブ閲覧をしているのですが、言われてみれば帰省当日よりも今のほうが通信が遅くなった気もします(あくまで気がするレベルです)。

「やりたい放題する人」を実質的な従量課金制にしてフェアになったとb-mobile側は自負していると思うのです。まぁ、1GB定額(30日) のほうはフェアじゃなくて「俺たち通信事業者が3100円/30日で出血大サービスをした商品だ」「ドコモの回線をMVNOしていて3100円/30日は苦しいんだ」という言い分も分からなくは無いです。ただ、悪い事をするわけでもない、実質的な従量課金を受け入れている私のような客に対して、これほどまでに些細な量や質の通信に制限をかけるのもどうなのかなぁ、って少しどころじゃなく疑問に思ったので書いてみた次第です。b-mobile Fair を 1GB定額(30日) にしたら、こっちにとってフェアじゃなくなった、ってちょっと笑い話じゃあないなぁと…。詳しく調べていないのですが、ドコモ本体等の他の通信事業者のほうが、価格的に1ヶ月あたりの料金はFairより安価で、かつこういう縛りはないのではないでしょうか(他の縛りはありそうですが)。改めて東京に戻った時にでも競合製品を調べてみようと思いました。

とはいえまぁ、通勤中にだけちょこっと使う、緊急時の作業のための回線、といった側面で見れば、期間契約縛りがない(好きな時にやめられる、これ結構重要)「b-mobile Fair / 1GB定額(30日)」は有力な選択肢であり、これからも東京で自宅と会社に固定回線がある環境では当分の間使い続けるサービスとなりそうです。

まぁ、こんな話は、実家にインターネットの固定回線を引けば良いだけの話。一昨年の引っ越し前は安価なADSLとISPを契約していたのですが、引っ越し後の地域は光化区域のようで、安価なADSLを引くことができないとのことでした。うちの母親はそんなにインターネットを使う人間ではないので、ほとんどの間自分が居ない場所に維持費の高い光回線を引くのは現状見合わないかなと感じて、今も固定回線については悩み中であります。次の帰省の時までにどうするか、いろいろ考えようと思います。

2012年、あけましておめでとうございます

2012年、あけましておめでとうございます。

TwitterやFacebookでは新年のあいさつをしていたのですが、ブログではまだでした。これを書いている現在、既に元旦を過ぎて1月2日になってしまいました。今年はブログのほうも活発に書いていきたいと思い、年始のご挨拶を兼ねつつ、2012年の抱負を語ったりしようと思います。

2011年をじっくり振り返ろうと、IRCのログ(会社やコミュニティのチャンネルや、メモ用の自分専用チャンネルなど)、Twitterの投稿履歴、やり取りしたメール、iPhoneで撮った写真…;などなどを眺めていましたが、それなりの分量があって全然時間軸が進みません。実家にはインターネットの固定回線も無く、手持ちのb-mobile Fairの細い回線なので振り返りも捗らずでした。2011年をじっくり振り返るのは、東京に戻ってからの最初の三連休にでもしようと思います。

THE INTERVIEWSへ2011年の年末に投稿した記事「今年やり残したこととかありますか?」とも被りますが、2011年を軽く振り返りつつ、2012年の目標や展望を語ってみたいと思います。

2011年は出会いに恵まれた年でした。

2010年の秋のYAPC::Asia Tokyo 2010で、「スカイアークシステム」(以下「スカイアーク」)という会社を改めて知って(それ以前から帯広にあるIT企業として名前は知っていました)、帯広から技術コミュニティ・Perlコミュニティを積極的に盛り上げようとする会社があるんだ、という興味から「スカイアークの人と会ってみたい」と周囲に吹聴していたら、とある方に2011年5月のゴールデンウィーク帰省の時にスカイアークの帯広本社に連れて行っていただきました。そこでHokkaido.pm主催者の@onagataniさんと出会って「Hokkaido.pmで発表してみない?」と勧誘を受けて、7月に札幌で行われたHokkaido.pm#5でHokkaido.pm初参加+人生初トーク「mod_perl温故知新」をさせていただきました(ブログ記事)。30代前半にもなって人生初トークとなったわけですが、トーク体験は貴重な経験となりました。さすがに直近10月に行われたYAPC::Asia Tokyo 2011では純粋に聴衆側にまわりましたが、7月の人生初トークを弾みとして、12月のHokkaido.pm#6でもトーク「mod_perl hacks PHP」をさせていただきました(ブログ記事)。Hokkaido.pm#5でのトークが自信になって、2011年9月帰省時についでに参加したLDD’11/Fall in KUSHIROでも初のLT5分間トーク「文字化け2011」をさせていただきました。

そもそも「会ってみたい」と吹聴していたら会わせてくれるという人とのつながりもありがたいことです。7月と12月のHokkaido.pmで北海道や関東で活躍しているPerlハッカーの皆さんと出会えたり、そこを軸として毎年参加しているYAPC::Asiaでも今年はHokkaido.pmの方々をはじめ例年にないほど多くの方とコミュニケーションさせていただきました。Hokkaido.pmではトーク側にまわったことによって、向こうから声をかけてくださる方や激励してくださる方がいたことも大きな自信につながりました。7月に改めて「人とのつながり」の大切さを痛感したことは2011年の大きな収穫でした。

それ以外の、世の中の動きも含めた2011年は、後ほどのブログ記事で振り返る予定です。2011年は3月の東日本大震災を初めとした激動の年でしたね。

2012年はもっと「オープン」に活動していきたい、そう感じます。いや、2012年のキーワードは「オープン」と言い切りましょう。

「オープン」という言葉には「個人や会社でまだパブリックに披露できていない技術をどんどん公開していく」という意味と「新しいコミュニティ活動やウェブサイト、ソフトウェア等を新規開設していく」という二つの意味を持たせています。

2011年は7月のトークで(会社の了承を得て)会社での試みを披露したところ、それなりの評判を頂きました。これは個人としてのスキルアップや自信にもつながりましたが、同時に会社のイメージアップにもつながったと思います。以前までは引っ込み思案だったりシャイだったり、有名になると何か悪いことをされるんじゃないかという思考が先行して、表舞台に出ることに消極的でしたが、これからは自分のため会社のため、コミュニティやお世話になったオープンソースソフトウェアへの恩返しのため、差し支えない範囲で自分の手の内をどんどん公私の活動をオープンにしていこうと考えています。そのために今年2012年は昨年以上にTwitterやブログや各種SNS等を積極的に活用していくことになるでしょう。

トークをする側にまわることは刺激的でスキルアップやイメージアップにつながりますが、それにはトークをするネタも必要です。自分のスキルアップというものは人生を通した課題でもあります。そして手元には「あんなこと、こんなこと、できないかな」と考えている未着手の問題も些細なものから大規模なものまであまねく存在しています。こんなサイトがあればいいのに無い、といったこともしばしば。「必要は発明の母」でもあります。特にトークのためにネタを捻出する必要なんて実は無くて、世の中には解決すべき問題がたくさん残されています。それを解決したことをトークのネタにまわせばいいだけです。その過程の中で必然的に、新しいコミュニティ活動やウェブサイトやソフトウェアを積極的に作っていくことが必要となるでしょう。意識的に行うとなると時間と労力が当然必要になりますが、自分のスキルアップを始めとしたポジティブな効果を2012年はより一層上げていきたいと考えています。

それ以外にも「今年やり残したこととかありますか?」で触れた

  • もっと人とのつながりを持つこと
  • 多くの人の役に立つ有用なツールを世の中に出していくこと

も2012年の目標として掲げたいと思います。これも前述の話や「オープン」の一環ですね。

「オープン」という言葉から連想されるキーワードで真っ先に思いつくのは「オープンソースソフトウェア」(OSS)ですが、学生時代から社会人の今まで、各種OSSには本当にお世話になってきました。今まではお世話になってきただけですが、こんなことを言うのはおこがましいと思いつつも、2012年は微力ながらOSSに恩返しや貢献ができるように活動していきたいと思います。

私だけでなく、私にかかわるすべての人にとって、2012年が飛躍の年でありますように、邁進していく所存です。

Hokkaido.pm#6 に行ってきました

2011年12月10日に行われた Hokkaido.pm#6 に行ってきました!

書こう書こうと思いつつ、うっかりこれを書いている日(2011年12月28日)から2週間以上経ってしまっていることに気づいて、「今年やり残したこと」にならないように慌てて書き始めた次第です。本当に遅くてすみません。

前回の Hokkaido.pm#5 に参加したときと同様、今回も東京から札幌へ遠征しました。前回の #5 では「mod_perl温故知新」と銘打った発表を行いましたが、手持ちのモダンPerlな面白い話が特に無かった自分は、今回もmod_perlネタを持って行きました。

YAPC::Asia Tokyo 2011 の gihyo.jp レポートでも、とてつもない速度でレポートを投稿していった @hirataraさんによる「今日は Hokkaido.pm#6 の日です」が前回同様、非常に良いまとめとなっています。本当に迅速にまとめが出来る方には頭が上がりません。また、Hokkaido.pm の Ustream チャンネルには、当日の録画もあります。

以下、各トークへの私なりの感想です。内容については上述のリンクをご覧いただくといいと思います。

@aloelightさん「Carton使ってみた」

モダンPerlの技術を常に追っていらっしゃる、@aloelightさんのCarton話です。→スライド

YAPC::Asia Tokyo 2011 でも、作者である@miyagawaさんが発表されていたCartonでしたが、一日目の午前中だったため、なんだかあの時は会場入るまでバタバタしていて、午前中のトークがあまり頭に入って来なかったんですよね。一日目の午前中は重鎮ぞろいだったってのもあるけど。なので、今回のトークはとても参考になりました。

本人は「簡単すぎて話す事がない」とおっしゃっていましたが、本当に簡単なのかも。まだいじっていませんが、年末年始の休暇中にでも perlbrew の箱庭環境で試してみることにします。パッケージのアンインストールにも対応しているということも改めて知りました。さすが、cpanmより進化しているんだなぁ。

個人的には@aloelightさんと同じ(今の日本でははてブにおされ気味の)Deliciousユーザの私は、@aloelightさんが開発したTweet::ToDeliciousをCartonで動作させるデモが興味深かったです。手元ではpfswatch等も使わせていただいていて、個人的には前回(#5)から色々声をかけていただいたりしてお世話になった(と勝手に思っている)@aloelightさんからは目が離せませんし、その活動をぜひ見習いたいと思って仕方がありません。

▼@akiymさん「botのつくりかた」

Hokkaido.pmが誇る高校生ホープ、@akiymさんのbotのお話です。→スライド

「高校生はIRCを使わない」「高校生はSkypeを使う」という出だし。確かに、IRCは会社とかにいる古い大人が先導して使う道具のようでもあるし、大人数になってワイワイしたいときにこそ真価を発揮するものだよなぁ、と思ったり。そういうわけで、Skypeボットの作り方を…という話の流れでした。

Windows と Linux にはそれぞれモジュールがあって、Skype API を叩くことができるのですが、モジュールがバラバラなので Skype::Any というモジュールを作ったという話。

Mac には同様の Skype API を叩くモジュールは無いようで、Cocoa と対峙しないといけないなぁ、といった話が繰り広げられていました。でも、@akiymさんなら近いうちに何とかしてくれそう、という期待も持っています。

@akiymさんのトークを聴講するたびに、2011年の高校生は本当にすごいなと思わされます。いや、@akiymさんが特に優秀だということは分かっているのですが。自分が2011年に高校生だったらどうなっていただろう…、と思わざるを得ません。

@nekokakさん「Clutch – distributed job system」

既に Perl Job Queue の先鋒として Qudo や Jonk など数々のプロダクトを世の中に出している@nekokakさんによる Job Queue の話。→スライド

Job Queue と Message Queue の違いの話は、今まで多少は気になっていたもののよく分からなくて放置していたのですが、実際に学術的な違い以上のことは考えなくてイイということが知れてよかったです。

Job Queue や Message Queue 等、要所要所で「使っている人いますかー?」というアンケートをされていましたが、手を挙げられずすみません…。会社でも Job Queue や軽量ORMを推進していこうとしているのですが、なかなかうまくいかず。まぁ、会社の主力製品も大規模で、おいそれと新しいものを入れるわけにいかないという言い訳もあるのですが…。来年2012年は個人プロジェクトを立ち上げる等して、そこで@nekokakさんプロダクトを入れていきたいなぁ、と思っています。

@xtetsuji「mod_perl hacks PHP」

はい、私の発表です。感想というか反省点やフォローなど。→スライド

スライドにも書いてありますが「モダンPerlに乗れていない」という通り、あまり手持ちのモダンPerlネタで話せるものもなく(POEの置き換えとしてAnyEventを最近いじり始めたり等してはいますが)、@aloelightさんのツイートにも後押しされて今回もmod_perlネタにしてみました。

まずはタイトルを決めて内容を考えていったのですが、正直タイトルを申請したところで「ちょっと大それてやいないか?」「PHPerに発見されて怒られたら嫌だなぁ」という思惑が頭の中をよぎって、トークの最初は言い訳みたいなものが続くことになってしまいました。

PHPも良いし日々お世話になっている。けど、世間で発注して納品されるPHP製品は残念ながら決して品質の高いものばかりでは無く、既に誰も保守していないPHPに手を加えて機能追加をしないといけない悲劇、また製品保守をしてもらったとしても契約などの縛りで手を加えることができない大人の世界のジレンマもあったりする、といった背景を打ち出してみました。

内容は「PHPに前処理をはさむ」「PHPに後処理をはさむ」の二部構成にしてみました。前処理も後処理も色々な、それこそApacheモジュールでできるあらゆることができるのですが、興味を持ってもらえるテーマは何だろうと考えて、前処理は認証周り、そして後処理は出力フィルタ周り、といった部分を話すことにしました。

「前処理」の認証周りについては「Cookieを読み書きできるからPHPの認証を捨て去ってPerlの認証を入れたり、既存サイトとSSOできるよ!」といったコンセプトを言うだけで、デモを作る時間がありませんでした。本当ならCPANモジュールのApache2::AuthCookie等を使ったデモを見せられれば良かったのですが、持ち時間の20分だとコンセプトの発表にとどめておいて正解でした。前処理といえば、PHPer御用達(今もそうなのかはわかりませんが)のmod_rewriteをPerlTransHandlerで置き換えるといったお話も興味を引くかと考えましたが、それは前回発表したし、トークという場では無い、ブログなどでまとめてお話が出来ればいいなと思って、完全に割愛しました。

認証周りをやると、画面に「〇〇さん、こんにちは」みたいなモノを出したくなるのでは?といった疑問にこたえるべく、Apacheノートについてお話しようと思ったのですが、時間がなく盛り込めずでした。そもそもデモすらしませんでしたからね。AuthenやAuthzのフェーズで認証をしてDBからユーザ名 $username を引けた場合、$r->notes->set( username => $username ) などとして、Apacheノートに記録することができます。これによって、フェーズ間で情報のやり取りができます。少なくともApacheモジュールで動作するPHP(mod_php)にはapache_note()という関数があり、mod_perlから渡したApacheノートを取り出すことができます。これによって、PHP側で認証をするほどの労力を使うことなく、「〇〇さん、こんにちは」を実現することができます。PHPソースコードの改変が必要にはなりますが、最低限で良いというのがメリットです。文字コード等はよしなにお願いします。

「後処理」は、出力フィルタ、ログ、クリーンナップ、と数えるほどしか無いのですが、Apache2から導入されたネイティブの出力フィルタをmod_perlから使う話は面白いのではないかと思って、今回取り上げさせていただきました。本当は出力フィルタの話は結構複雑なのですが、Bucket BrigadeとかそういったApache専門用語は使わず、ソケットから丸呑みして書き換えてやれ、といった20分トーク仕様にしてあります。後処理は簡単でもいいからデモをしてみようと、初デモをしてみました。Pukiwikiの出力を書き換えるというデモでした。本当なら、ドコモ端末から絵文字入り投稿をしたページをソフトバンクで見たらEncode::JP::Mobile等を使ったmod_perl出力フィルタが絵文字変換をしている、といった嬉しいデモを見せたかったのですが、Pukiwikiにドコモ端末から絵文字を投稿したら丸々文字化けしてしまって愕然となり、発表直前に諦めざるを得ませんでした。結局、出力に特定のキーワードがあったらそれを大文字にするとか、簡単なデモで済ませてしまいました。

「時間がかかる処理はまずユーザに画面を出して、実際の処理はJob Queueに任せる」といったものがモダンPerlの鉄則ですが、prefork MPM Apache + mod_perl を使った安上がりな解決方法として、クリーンナップフェーズで処理をする方法があります。そうすれば、ユーザに画面も出してログも書いた後、数十秒かかる処理でも気にすること無くApacheが処理をすることができます。ただ、かかる時間やそのような処理の発生頻度が高い場合には、クリーンナップフェーズで処理をしているApacheが溜まってリクエスト受付処理ができない場合があります。その場合はクリーンナップフェーズで必要な処理をする別プログラムを用意してexec()して処理を移譲してしまえば、そのApacheは消えていなくなってしまい、Apacheの設定に伴って必要があれば親から新しい子プロセスが供給されます。ただ、この場合はexec()のコストも考えないといけないので、これも良し悪しかな。

懇親会までの間に複数の方から「mod_perlを使うとApacheが太りませんか?その対策はどうすれば?」といった質問を受けましたが、こればっかりはどうしようもありませんね。ハードウェアにメモリを潤沢に乗せるか、Apacheの設定MaxRequestPerChildを小さめに設定する、Apache::SizeLimit (mod_perl1)、Apache2::SizeLimit (mod_perl2) を使って太り過ぎて支障が出るほどのApacheに退役してもらう作戦くらいしか回答できませんでした。

関係ない話で熱く語って長くなってしまいましたが、この熱意をトークでも出した「日本mod_perl改造計画」につなげていきたいと考えています。

mod_perlバカと思われている私ですが、まだまだ使ったことのないmod_perlの機能は沢山あります。Plack/PSGIの登場で使いやすいWAFが登場して、特定のウェブサーバに依存せず簡単にウェブアプリケーションを作ることができる嬉しい時代ですが、こういったPHP等の他言語との連携をする場合に、最もシェアの高いApache上で動くmod_perlの「魔法」を使って助かったという人が、私の活動をきっかけに一人でも出てきてくだされば本望です。

@hirataraさん「循環参照のはなし」

冒頭でも触れた、最速でHokkaido.pm#6をレポートしてくださった@hirataraさんによる、循環参照のお話です。→スライド

出だしで、私の冒頭の言葉を拾ってくださって「私もモダンPerlに乗れていない…」と@hirataraさんがおっしゃったときには「いえいえそんなことはー!」って言いそうになってしまいました。Ustreamされているので、さすがにその場では言いませんでしたけど、懇親会で「恐れ多いです」とはお伝えしました(笑)。

循環参照。結構Perlを書いていれば誰しもが知ることになる言葉ですが、普通にコードを書いていればあまり出会わないものと思っていました。ただ、昨今は非同期・イベント駆動フレームワークでサブルーチンリファレンス・コールバックが多用され、そうった状況下で循環参照が発生しやすいといったお話は、非常に参考になりました。さすが AnyEvent 等を極めている@hirataraさんだけあるなぁ、と非常に感心してしまいました。

Perlユーザであれば、昔からの標準モジュールScalar::Utilにあるweaken()でどうにかなるんじゃないの?といった部分についても、そう単純にはいかないよといった話があって、循環参照って古くて新しい、結構難しい問題なんだなと思った次第です。

@onagataniさん「YAPC::Asia Hokkaido 実現に向けて」

以前から開催が計画されていた YAPC::Asia Hokaido 実現に向けての計画を、Hokkaido.pm 代表の @onagataniさんがお話されました。→スライド

当初はLTでのトークの予定でしたが、時間が余ったのでこの枠に移りました。結果15分ほどのトークとなったので、ちょうど良かったのだと思います。

「Hokkaido Perl Workshop」などいくつか名前が提案されていましたが、このトークで「YAPC::Asia Hokkaido」という言葉が正式に打ち立てられたと思います。北海道出身者として、YAPC が北海道で催されるのであれば、これほど嬉しいことはありません。

ただ、トーク後の質問等でも出ましたが、どの時期に開催するとしても何らかのイベントと大抵ぶつかる事や、初の東京以外でのYAPC開催への不安、様々な見積もり、会場をどうするか等、これから解決していかなくてはならない問題は多そうです。

私は東京在住の身であり、実働部隊のスタッフとしてお手伝いし難い部分もありますが、早速 Google Group に加わらさせていただきました。可能な支援は積極的にしていこうと考えています。

LT

  • @sugyanさん「たのしい記号Perlプログラミング」
    拡張正規表現を使えば7つの記号だけでプログラミングができる!→排他的論理和を活用→Acme::HeptaSymbolize→画像からHello! World.が作れるよ。→かわいいアイコンと北海道でデモ
  • @koji_magiさん「困ったときのAcme::*」
    最近お祝いする人ができた→Acme::Omedetou→ひたすら画面におめでとう→「Hokkaido.pmに参加すると嫁ができる」
  • @techno_nekoさん「GUIアプリに必要な3つのこと」
    「人見知りの人こそ、スピーカーになって話しかけてもらう」→GUIは痒いところに手が届くことが大切
  •  @nekokakさん「Object::Container::Exporter」
    飛び入りLT参加(すごいです)→Object::Containerはシングルトンにオブジェクト管理用モジュール→Object::Container::Exporterはimportやnew等、さらに色々なことを行ってくれる
  • @charsbarさん「YAPC::Asia Hokkaido 実現に向けてへの補足」
    飛び入りLT参加→直前の@onagataniさんの YAPC::Asia Hokkaido 実現に向けてのトークについて、 このスケジュールだと海外のコレとかぶるよ、といったアドバイス。

雪駄で関東からいらっしゃった@sugyanさんのLTは、Yokohama.pmのUstreamで以前拝見したもののパワーアップバージョンでした。面白い。@koji_magiさんのAcme::Omedetouといい、Acme::*は本当に楽しいPerlの文化です。

@techno_nekoさんが主張する「人見知りの人こそ、スピーカーになって話しかけてもらう」は、私自身が今年実感したことです。枠とネタがあるのなら是非しゃべるべき。そうすれば、人見知りで人に声をかける勇気が必要な方でも、話しかけてもらえます。

飛び入りでLTをするという@nekokakさんと@charsbarさん。さすが熟練者だなぁと思わずにはいられませんでした。また、様々な国内・海外の動向を把握している@charsbarさんはスゴイなぁと感じました。

その後

余剰時間を使うことなく完璧に時間通りに終了し、結構余った時間をロビーで過ごしつつ、懇親会の時間が近づいてきたら数人でタクシーをつかまえて、懇親会の会場へ移動しました。その間、外に積もった雪にはしゃぐ@sugyanさんや@nekokakさんを見て皆さんで楽しんでいました。

懇親会

関数型都市忘年会との合同忘年会でした。テーブルはHokkaido.pmと関数型都市で分かれていて、向こう側のお話は難しくてついて行けなかったので、私は主にHokkaido.pm側の席でいろいろな方とお話をしていました。

今回、取材でいらっしゃった@ya_k0さんから、著名な某ハッカーの素性を拝聴したり、YAPC::Asia Tokyo 2011 でお会いできなかった@hirataraさんと初めておしゃべりをして「モダンPerlに乗り遅れているのは私だけですよー」などと話しかけたり、同じ数学科出身という共通項で勝手に盛り上がってお話をさせていただきました。

その他にも、YAPC::Asia Tokyo 2011以来の再会となったスカイアークシステムの方々を初めとした北海道勢の方々と改めてお話をしたり、気がついたらParumonで盛り上がっている@aloelightさん達を見て羨ましく思ったり、美味しい料理を食べたり、本当に楽しい懇親会となりました。

ここまでお話、特に懇親会の雰囲気については、以下の @ya_k0 さんのブログのまとめが秀逸です。写真が上手い!

私も乾杯のシーンで笑顔を写真に出しています。また、酔って口から出た発言も拾われちゃっていますね。あはは。

二次会

懇親会終了で関数型都市とは分かれて二次会へ。Hokkaido.pmは@onagataniさんが先導して、見つけたお店に入ってみたものの、最初のうちは混雑していてぎゅーぎゅー詰めにされて大変でしたが、後半は客が引いて余裕が出来たスペースを勝手にHokkaido.pm勢が占拠して、事なきを得ました。

初参加という@jamadamさんに、今回の私のトークを褒めていただいたのは嬉しかったですね。レガシーPerlもまだまだ健在だし、一から自分達の自由に作れる会社よりも、ボロボロの製品の保守を引き受けたりコンテンツ移管をしたりといった事のほうが世間では多いんじゃないかとか、そんな話。私の会社もそんな時期があったからこその今回の私のトークだったので、今も一人開発者として奮闘している@jamadamさんと意気投合して、途中から@onagataniさんも入って一緒に楽しく語らいました。

あ、一人開発者って、自分の今の会社での立ち位置も似たようなものじゃん!会社では開発者の求人も募集しているので、そちらもよろしくお願いしますね。2012年はみんなでワイワイ開発したいなー。

まとめ

今年は5月の@onagataniさんとの出会いから、トントン拍子に7月の Hokkaido.pm#5 に初参加+人生初トークとなり、12月の今イベント Hokkaido.pm#6 も参加+トークという、非常に充実した一年となりました。GitHubやCPANに動く有用なものをアップするまでにはまだ到達していませんが、トーク活動共々、実際に動く有用なものを世の中に出していくことも来年2012年の目標にしたいと、Hokkaido.pmに意欲と情熱を貰った一年でした。

今回も長文となってしまいましたが、ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。

高校時代の修学旅行と「怪盗セイント・テール」のお話

こんにちは。ここ最近、女児向けアニメ…に見せかけた大人向けマジキチアニメ「ジュエルペット サンシャイン」が面白くてたまらない おがた です。

今宵、遅くまで一人で外で飲んでいた際、ふと高校時代のことを思い出したので書いてみます。

お話は高校2年生の時の修学旅行の時の話。今までの人生を半分に分割した分割点あたりです…というと歳がバレますかね。

高校時代の修学旅行は「飛行機プラン」と「鉄路プラン」の二種類があって、学年全体でどちらにするかアンケートを取ったのですが、このころ起こった飛行機事故(何だったか失念)がセンセーショナルに報道されたことと、鉄路のほうが一日修学旅行(というか移動時間)が長くなる、ということもあってか「鉄路プラン」が選ばれました。

行き先は「奈良」「京都」そして「東京」。一週間ほどのプランだったと思います。私の在籍していた高校は北海道帯広市にあったのですが、鉄路ではそれは遠い道のりでした。早朝に帯広駅に集合して学年全員が出発したにも関わらず、その日の夕方にいたのは函館駅でした。半日経っても、まだ北海道すら出ていない!たぶん単線がほとんどの北海道の路線では、貸切だったはずの列車はたびたび待合駅で途方も無い時間待たされたのでしょう。まぁ、道中は楽しかったものでした。事前に物産展で八つ橋を買っておいて食べながら「おい、京都はまだだぞ」とクラスメイトにツッコンでもらったり…。

中学校の修学旅行で青森に行ったのが最も南への旅だった私は、夕陽が沈む函館駅で乗り換えの電車を待ちながら思いを馳せていたのでした。

乗り換えた寝台列車が青函トンネルを抜けて、青森駅に着いたのは既に深夜。深夜の列車、特に貸切列車ともなると、貨物列車との待ち合わせも長いのでしょう。青森駅で1時間以上停車することになったようです。函館で配られた弁当も早々に消化した私と、私と一緒のグループだった二人は、当然期待で眠れるワケもなく、UNOをしたりして退屈しのぎをしていました。窓の外は、深夜の青森駅のホーム。静かです。大人になった今の私だと風情を感じるところでしょう。

その時に、同じグループの一人が、青森駅ホームの売店が開いていることを発見して「何か買ってくる」と外に出ていきました。残された私達二人は「面白そうな食べ物や退屈しのぎできそうな物を買ってきて」と適当にお願いしたのでした。

帰ってきた探検隊の彼が買ってきたものは、確か以下のようなものだったと記憶しています。

  • りんごシャーベット3つ
  • スポーツ新聞
  • なかよし

りんごシャーベットは、まぁ青森だなぁというチョイスですね(もしかしたらアイスだったかもしれません)。スポーツ新聞もまぁ無難な暇つぶしアイテムですが、度肝を抜かれたのは「なかよし」でした。そう、少女漫画雑誌です。

ただ、実際に中を読んでみると意外に楽しいんですよね。私は高校時代も今も「ジャンプ」「サンデー」の類の少年雑誌すら手にとって読んでいなかったので、あの雑誌の質感も新鮮なものでした。

なかよし連載と言えば「魔法騎士レイアース」等のCLAMP作品や「セーラームーン」等が有名ですが、この深夜の青森駅で買ってきてもらった時のなかよしの巻頭は「怪盗セイント・テール」という漫画でした。当時、アニメ化されるほどのヒットになった作品です(この時点ではアニメ化はまだだったはず)。

青森駅を出発して、退屈しのぎになかよしを回し読みしていくうちに、他の漫画は特に気にも留めなかったのですが、「怪盗セイント・テール」だけは三人一致で「面白い」と話題になりました。続きが気になる、連載当初が気になる…。そんな話をしつつ、眠りにつき、列車は南へ西へ向かって行きました。

その後、奈良に着き、教師が組んだ流れで鹿を見たり寺を見たり引率されつつ、京都へ移動することになりました。京都では自由時間がありました。自由時間といっても、グループごとに事前に計画を立てて古都をまわるといった内容だったと思います。

ここで問題だったのは、私と一緒のグループだった二人は、写真部の部長と副部長だったということでした。京都の観光プランは彼らに任せっきり(歴史とか当時興味がなかったので)だったのですが、比較的まともな寺巡りをした記憶があります。ただこれは、漫画「究極超人あ〜る」(写真部が舞台の漫画らしい)の修学旅行の回にのっとったプランだったようで、要所要所で彼らの迷言(たぶん作中に出てきたものだと思う)を聞いてハテナマークを頭に浮かべていた思い出があります。

寺巡りはそれなりに、グループの3分の2が写真部ということでこの後、京都でそれをやるか的なカメラ屋巡りに延々と付き合わされることになるのでした。

さすがにカメラに興味がない私の意見も聞いてよと懇願し、理工学系の専門書店に少しだけ行かせてもらえることになりました。当時は数学と物理に執心していたものの、地元のやる気のない書店では大学レベルの微分積分の教科書すら買うことができません。ここは寺だらけだけど、京都大学を含む各種優秀大学のお膝元!ワクワクせずにはいられませんでした。

適当に探して入店したのは「オーム社書店」(検索したら今はもう無いらしいです)。あの理工系書籍の出版元オーム社の直営店だったのでしょうか。その名前と店の門構えに感動した覚えがあります。ただ、オーム社を知らない人が多いのか、この日の2日後が某カルト宗教で逮捕された某教祖の初公判だったからか、店の前には張り紙で「当店はオウム真理教とは関係ありません」と書いてあったのが印象的でした。というか、この初公判直前という何とも微妙な時期の修学旅行で、各地、特に人が多く集まる場所が微妙な雰囲気になっていたのは今も印象に残っています。

「オーム社書店」に入店して、数学書を嬉々として物色していると、なんと店名には似合わない漫画コーナーがあるのです。そこで「怪盗セイント・テール」の単行本を発見して、思わず大学の微分積分の教科書と共に「怪盗セイント・テール」の単行本もその時点で刊行されていた全巻をコンプリートしてしまいました。

その後、京都で宿泊をしたあとは、東京に移動。学校側の流れで東京の初日はディズニーランドに行ったのですが、ディズニーランドにまるで興味が無かった我々は、隅っこにあったマジックグッズショップでマジックの実演をしていたおにいさんを終日ずっと見て楽しんでいました。乗せられて買ったマジックグッズを試しながら広場の真ん中で座って時間が過ぎるのを待っていたら、ちょうどエレクトリカルパレードを最前列で見ることができたのは良い思い出でした。あれはディズニーに興味がなくても、花火が綺麗だと思う感性で楽しむことが出来る良いイベントですね。

ディズニーランドではフリーパスを渡されていたにも関わらず、当初聞いていた途方も無い待ち時間を聞いて辟易として、そもそも「乗り物」には一切乗らなかったのですが、「乗り物」に乗った人に後で話を聞いたら「通常は30分待ちの乗り物がスイスイ乗れた」とのことでした。初公判効果なのだなと思いました。当時テレビのニュースでは「人の集まるところではテロの危険性が…」って繰り返し言われていましたし。そんな中、修学旅行を決行した学校側の校風はのどかだなぁと思います。

東京の二日目は自由行動。ですが、恐怖の「ヨドバシ・ビック・ドイ、3大カメラ店無間巡回」が待っていました。朝8時30分から自由行動が開始で新宿を出発するのですが、みんなは都庁等に行くわけですね。でも我々はヨドバシカメラに行くんです。開店10時なのに。何かの発売待ちでもないのに、1時間以上シャッターの前で待つ。その後、「部長」のカメラ物色と価格比較のために、無限巡回が開始されたわけです。唯一、新宿の紀伊國屋書店に小一時間行かせてもらったのが唯一叶った私の希望でした。後は、秋葉原でも上野でも、カメラ、カメラ、カメラ…。部長と副部長が「このカメラ、シャッター音がいいよねぇ」と言われても全然分からない。ただ、巨大カメラ店が、郊外のスーパーの鮮魚売り場のような広さでフィルムだけを売っている光景は、まさにここが日本のカメラの総本山なんだなと、人生の勉強になりました。

最後に部長の一言がすごかったです。「京都のほうが安かった」。京都でさっさと買ってよ、と。

あれ、お小遣いは数万円のはずなのに、部長なぜか札束出して超武装されたカメラ買ってる…。

夕方に上野で学年全員が待ち合わせという予定だったのですが、三人とも何かに疲れて、まだ夕方になる前に待ち合わせ場所に着いて、休憩しつつ時間を潰していました。

結局、私が東京というものを本当の意味で巡って各所を知ることになったのは、大学進学で上京してからになるのでした。

その後、修学旅行から帰った後は、写真部の部室を拠点に、なかよしが定期購読され「怪盗セイント・テール」グッズやCDがコレクションされることとなったのでした。

…今宵、夜に一人で飲んでいて、最近になって(2011年11月)「怪盗セイント・テール」の単行本が新装版で復刊したことと夜の青森駅が思い出されて、こんなことを回想して文章を書いた次第です。

「怪盗セイント・テール」は多くの人が楽しめる今も通用する傑作だと思いますので、興味が湧いた方は新装版を買ってみてはいかがでしょうか。私も先日買って久々に「怪盗セイント・テール」ワールドに浸りました。楽しかったです。

「YAPC::Asia Tokyo 2011」 #yapcasia に行ってきました

タイトルの通りですが、2011年10月13日(は前夜祭)、14日(1日目)、15日(2日目)に行われたプログラム言語Perlのカンファレンス「YAPC::Asia Tokyo 2011」に行ってきました。

このブログ記事を見る方は「オマエ誰?」という方がほぼ大半だと思うので、私とPerl/YAPC周りの関わりを3段落で書いてみます。

  • 30代男性。aka @xtetsuji。地元北海道で18年、大学で上京、東京で今の会社に就職して8年、今に至る。
  • YAPCは2007年から毎年参加。毎年聴講のみの一般参加だったけど、ついに今年念願の自社がYAPC協賛スポンサーに!今年はそのスポンサー枠で参加。fonfunという赤いウネウネした何かがロゴの、ウェブメールをやっている会社です。
  • 就職してひょんなことからPerlを書き始める。元々はインフラ志望、Linux歴十数年、Perl歴8年。だけどブランク時期もあってスキルは…でもPerl大好き!モダンPerlの先端は追いかけきれていない今もヒヨッコだけど、VMやperlbrewで手軽になって手元では試しやすくはなった。社内は昔から濃ゆいmod_perlのシステム、それで今もなおmod_perlエキスパート(?)の道を邁進中(Nginxとかも試食中だしオワコン野郎って言わないで><!)。社内の内向きのアウトプットはしていたけど、長年(社会人になってしばらくしてから)ブログ等の外向きのアウトプットをしていなかったが、その大切さを最近痛感。今年2011年、地元北海道の縁もありHokkaido.pmでmod_perlを題材に初トークさせていただいたり、今ブログを書いたりし始めています。

よろしくお願いします。

毎年、懇親会等の交流の場では、一緒に来た会社の仲間数人と集団を作るだけで、シャイな性格ゆえかなかなかボッチ感が拭えなかったのですが、今年はHokkaido.pmの仲間との再会や、そこからの繋がり等もあって、ボッチ感が少し和らいで、より楽しかったです。ただ、特に有名な方に名前を覚えて頂くまでには至っていません(お前アウトプットしていないんだから当然!って言って下さい)。今年YAPCで頂いたモチベーションを利用して精力的にアウトプット、さらに精力的に交流する!これは次回への課題です。

各トークについては、技評さんのまとめを初めとした優秀なまとめが数多くあるので、個々に聴講したトークの内容は逐一書かず、印象に残ったトークの感想や場面をざっくり書いてみようと思います。

前夜祭 10月13日(木曜日)

YAPC::Asia Tokyo は今まで何度も参加していますが、前夜祭に来たのは今回が初めてでした。当初来る予定は無かったので会社で仕事をしていましたが、#yapcasia タグの中継を見ていて、居ても立ってもいられなくて「事前登録だけできればいいか」という気持ちで18時過ぎに会場に向かいました。

結局、会場に着いた時間が遅くてRejectConfは聴講できませんでしたが、事前登録を済ませ、会場ホールで私の大切な師匠の一人である@shakujiさん(今回は運営を担当されていました)にお会いし軽く談笑。ビールを頂き、その後の宴会に参加して北海道勢との再会を中心に親睦を深めることができました。

ホールから撤収した後についていった宴会の開場は狭く圧迫されて疲れたことも確かですが、酒場でもPerlやシステム用語が飛び交う光景、近くに来てくれたtokuhiromさんの熱いお話を聞くこととができたり、楽しく貴重な体験でした。

1日目 10月14日(金曜日)

遅れ気味に到着。@941さんのOpeningの途中から講堂に入りました。

その後、午前中は講堂で聴講をしていたのですが、Jesse Vincentさん、Tatsuhiko Miyagawaさん、Naoya Itoさんと、重鎮のトークが続きます。最初から疾走感と重厚感が半端なかった。Perl5の明るい未来を実感し、Cartonスゲーと驚き、スマホ開発のイマドキを生で聴くことができました。

午後はMarc Lehmannさん(非同期)、Kang-min Liuさん(perlbrew)などを講堂で聴きました。何年経っても英語は苦手。スライドから雰囲気を察する力だけは向上中。ダメですね、英語の勉強もヒアリングから始めてスピーキングも勉強しないと!と毎度思います。今年こそは実行に移す!

北海道(Hokkaido.pm)から来た@techno_nekoさんの「perl meets beats」を聴講。Hokkaido.pm#5でもこれの一つ前のバージョンのトークを聴講しましたが、機知に富んで面白いトークでした。こちらは2日目ですが@hrkさんの「OtoPerl」も聴講して「Perlで音楽、アツい!」と思いました。

Plack以前のWAFで盛り上がったりMooseに湧いたりといった例年と違い、特定のプロダクトや動向に多くの注目が注がれない年だったとは思いますが、ゲームとサウンドが個人的にアツい(ネタ的にも笑えますし)と思いました。

今年特定のプロダクトがことさらフォーカスされなかったのは、良い意味で現状が成熟していて過去からの新陳代謝が起こっているからなのではと思います。もちろん進化や新しいものを生み出す原動力は必要ですし、JavaScriptの話が多いのは時節柄としても、一時期過大に持ち上げられたORMも今回はORM-dis風潮に飲まれたり…。SQLチューニング等、温故知新は悪い事ではないかなと。周囲に話を聴いても「いくらOOPを楽にしたいといえパフォーマンス等を犠牲にしてまでMooseしなくても自分でblessすりゃいい」といった話も聴きます。私もそう思います、というかblessって構文の名前、オシャレじゃないですか。私は好きですよ。

LT1日目。20個近いLTに大盛り上がり。でも iSteve for perl が全て持っていったくらいの威力でしたね。単純に高い技術を発表すれば盛り上がるわけじゃない、LTの面白さと難しさを再確認しました。

懇親会は、再会した北海道勢と盛り上がったりできて、今までのYAPCの懇親会に無い活発な交流ができましたが、それでも有名人に中々声を掛けられなかったり、ボッチ感が完全に拭えた感じではありませんでした。これも次回への課題でしょうね。でも、あの大勢の空間の中ではなかなか難しい部分もあります。私はスポンサー枠を示す緑色のストラップを下げていましたが、特に収穫や恩恵はありませんでした。

2日目 10月15日(土曜日)

1日目もそうですが、2日目は本当に悩みました。1日目以上に聴きたいトークの時間が重なりまくっているのですから…。どうしたものか…。現地のアツい空気は感じているし、聴けないトークは後日の動画やスライドの公開に期待しようと心に言い聞かせつつ、毎回苦渋の選択をしました。

午前中は前日同様講堂に入って「続 Unix Programming with Perl」「運用しやすいWebアプリケーションの構築方法」を聴講。実践的な内容に満足。

午後は「私は@nekokakさんのファン」とか言いつつ、「watch your log」ではなく、蔵前会館へ移動して「DISられないCPANizeを目指して」を聴講しに行きました。これからCPAN Authorを目指したい自分にとって、この聴講は大きな糧となりました。

数学科出身で圏論などを操り、今回の技評レポートでもその超速レポートぶりを発揮していた@hirataraさんの「Monads in Perl」を聴講。私も実は数学科出身ですが、専攻が違ったので圏論は全くの専門外。でも、分かりやすく解説されたトークからの数学の香りはとても心地良いものでした。最近数学自体を勉強していないなぁ…、Haskellも興味あるなぁ…、等と聴講中も聴講後も思いを巡らせました。

「SKYARC system presents 招待 LT」。地方の力、若い力を存分に感じました。スカイアークシステム++。若い方々頑張って、地方頑張って。私は個人的にHokkaido.pmを応援していますよ。

15:20は究極の選択。北海道勢の究極のダブルブッキング。私が個人的にお世話になった(と勝手に思っている)@aloelightさんの「少人数でのWebアプリ開発 – CGIからPSGIまでの変遷」と、高校生ホープの@akiymさんの「なぜ、高校生がPerlを使うのか?」。苦渋の決断の末、前者を聴講しにいきました。mod_perl止まりの私にとって、少人数でも進化を続けておられる@aloelightさんが羨ましかった。トークも面白かったです。

移動が多い2日目。また移動して、「OtoPerl」「Perl Hobby Programming – Games::BeLike::EightBIT ターミナルで8ビット風ゲームを作ろう」を聴講。OtoPerlについては前述。8ビット風ゲームはHokkaido.pm#5や1日目LTでも聴講したものの長時間バージョンですが、ある意味破壊力抜群。OtoPerlとともに、面白すぎて笑いが絶えない2トークでした。

その後は講堂に戻り、LT2日目、基調講演、Closing、と進行。

基調講演「Managing A Band Of Hackers」はギークのマネージメントといったお話。私はまだマネージメントをする側ではありませんが、マネージメントも含めて色々体験してみたい、その時にはこの基調講演の内容を活かしたいと思った次第です。

Closingは@lestrratさんが登壇。スライドの企業スポンサーの中に自社ロゴがあったのは感無量でした。そこで示された数字を見るだけでも、YAPC::Asia Tokyo って本当に大規模な祭典!今回は時勢柄ゆえかJavaScriptの話も多く、Perlをメインで書かない人も是非来てみる価値があるイベントだと断言できます。だって、懇親会でも「Perl歴本当に少ないんですよ」「業務ではPerl以外を使っています」っていう方にチラホラお会いしたくらいですからね。

例年通り、トークの投票の抽選などClosingの中で行われて喝采や笑いで盛り上がる中、YAPC::Asia Tokyo 2011は閉幕。

毎年ですが、今年は特に語り尽くせないほど本当に面白かったです!来年があるかどうか?という不安な発言もClosingで飛び出しましたが、来年・次回があれば、次回はさらに楽しめるよう、それまでアウトプットをしたり自己研鑽を楽しんで、万全の体制?で望みたいなって思いました。

トークをした皆さん、本当に楽しかったです。イベントスタッフの方々、本当にお疲れさまでした。私とお話をしてくださった方々、また機会を見つけてお会いお話できれば本当に幸いです。

長文になってしまいましたが、これを以て YAPC::Asia Tokyo 2011 のまとめとさせていただきます。ありがとうございました。

Hokkaido.pm#5 参加レポート

Hokkaido.pm#5 に参加しました!

東京在住なこともあって、PerlといえばYAPC::Asiaには毎年聴講には行ってはいるのですが、その他の小中規模の勉強会やカンファレンスの出席には、恥ずかしがり屋の性格が出たりしてなかなか足が向きませんでした。そんな中、今年(2011年)のゴールデンウィークの谷間に永谷さん(@onagatani)とお会いしたことがきっかけで、Hokkaido.pm初参加の上に人生初スピーカーまでやることになりました。本当にありがたい出会いでした。

自分の発表分「mod_perl温故知新」の振り返りも含め、参加者の皆さんの聴講内容を自分なりに振り返っていきたいと思います。

最も素早くレポートをブログにアップした@hirataraさんの記事「今日はHokkaido.pm #5の日です」や、参加者の皆さんのレポートを集めた@aloelightさんの「Hokkaido.pm#5の参加レポート一覧」は今回のイベントの良い参考になると思います。

以下、レポートというか私の主観が入った感想文寄りになっています。長文ゴメンナサイ。

@charsbarさん「今年の夏休みは」

PerlでSDL、ゲームを作る。Perlではそこそこ知られている?ニコ動で検索するとPerlでSDLやってる動画が出てくる。Ruby SDLは元気とのこと。

ゲームはLTのネタとしていいよという話が出ました。2006年に数独をテーマにして好評だったとのこと。今回のLTでもマ◯オが動いていたので、まさにタイムリー。

倉庫番が軽快に動いていました。6000行程度のこと。

次が自分の発表だったので、メモはそこそこ、聴講しながらも緊張していて内容があまり頭に入ってきていませんでした。申し訳ないです@charsbarさん…

@xtetsuji「mod_perl温故知新」

はい、私自身の発表です

人生初スピーカーなので「持ち時間20分。20秒1枚で80枚スライド作ればいいかな(算数がそもそも間違っているところもポイント)」と血迷ったことを考えた挙句、緊張と気合を入れすぎて100枚近く作ってしまい、前日の夜に慌てて枚数をreduceしたものの、90枚程度になってしまいました。スピーチ練習の時も20分に収めようと思って早口芸人のようになってしまい、大丈夫かな…でももう時間ないし…といった状態で望んだ次第です。

スライドにも書いた通り、あまり新しめのネタを持っていなかったのと、mod_perlなら私自身いろいろな知見を持っているということもあって、テーマをmod_perlにしました。正直「mod_perlはオワコン」なんて質問が来ないかドキドキでしたが(冒頭でPlackの話を出したのもそんな恐怖心からだったり)、後でTwitterを眺めてみると「PerlTransHandlerをmod_rewriteのリファクタリングに使う」といった前段のネタに関心してくれた方も居らっしゃったようで安心しました。

それこそ辞書のように分厚いApache C APIの書籍やmod_perlの書籍自体が出ているくらい(しかもツライことにほとんどが洋書)で、そんなmod_perlの全容を話すことは20分では到底できませんが、Connectionサイクル・フェーズでSMTPサーバを実装して商用サービスに投入して安定稼働させている、という部分のコンセプト紹介と多少の自慢ができてよかったです。

スライド中でも解説しましたが、qpsmtpd自体にもApache2のConnectionサイクル・フェーズで動作させる Apache::Qpsmtpd なるものがありますので、今回のApache2の意外な利用法に興味を持った方はそちらをご覧いただくと良いと思います。

余った時間をいただいて25分にしていただいたのにも関わらず、IV部のnginxの解説(PerlEmbeddedModuleとmod_perl1の類似性)とまとめ・参考文献までたどりつけなかったのは明らかに盛り込みすぎでした。ここは反省点でしたが、多様なウェブサーバ・WAFの選択肢がすでにある現代でも、むき出しのmod_perlに興味を持っていただける方が少なからずまだいらっしゃることは分かったので、今後は日本語の情報を私の手で出していければなと思った次第です。

以上、反省会終了です。ご意見いただければ私の活力になります!

スライドは近日中にどこかにアップします。アップしたら Twitter @xtetsuji などでお知らせします。

(2011/07/22追記)

SlideShareにアップしました http://slidesha.re/ofTYRS

また、以下のUstream録画から私の発表の様子をご覧になれます。

@lapis_twさん「libperl++」

C++のコードをPerlで使えるようにするライブラリの話?私、CとかC++分かりません!けど、書ける人できる人尊敬します!

XSはCのバインディングだけど、ExtUtils::XSppというのがあってこれがC++のバインディング、みたいな話。

デモが動かなかった!YAPC::Asia2010では動いたのに!

CやC++を勉強してみようと思ったセッションでした。

@nekokakさんのセッション

様々な有用なプロダクトを世の中に輩出している@nekokakさんですが、今回は特定プロダクトに偏った話ではなく、ご自身の経歴や、エンジニアはどうあるべきか、といった「スピリチュアルな話」をされました。

昨年のYAPC::Asia2010で「省サーバ運用」を発表してベストスピーカー賞を受賞するほど共感を多数もらい、みんなが感じていたことだと思ったとのこと。

「カンファレンスは情熱をもらう場所」という言葉には心打たれました。YAPC::Asiaに聴講しに行ってもそうですが、発表者になるとフィードバックが返ってくることで、もらえる情熱はより多くなることも今回実感しました。

相反する事象「自分で作ったものが使えない」「自分で作ったものを使え」といったお話も。TengやDBIx::Skinnyは自社では使えない…けどそこは折り合い。自プロダクトにこだわりすぎてはいけない。だけど、KamuiもQudoもDBIx::Skinnyも自分が使うために作ったもの。そうでないと良い物は作れない。「ドッグフードを食べよ」はまさに的を射た言葉でした。

尊敬するエンジニアに樋口さんと@tokuhiromさんを挙げられていました。客観的に判断ができ、視野が広い、そしてなにより技術力がある方々であると(私がざっくりと表現してしまいましたが)。

エンジニアはモノを{作る,使う}だけで終わらない事。リーマンプログラマも製品開発に必要な要員ではあるが、自分がどうなるかは全ては自分次第。

nekokakさん自身の歴史。謙遜は入っているとは思いますが、社会人最初の2〜3年は文系出身のリーマンプログラマだったとのこと。そして少しずつステップアップしていって、YAPC::Asiaに応募するまでになった。

DevOpsの話。開発と運用のコラボ。小規模な会社だと開発者==運用者であることが多いですが、開発者とインフラ担当者の分断めいたものを一時体験した私にとっては、結構興味深い話でありました。チーム一丸となって相互理解をして作業していきたい私にとっても、今後DevOpsはウォッチしていくキーワードになると思います。

「この中でYAPCで発表する人」と挙手アンケートがあった気がします。私は前の席に座っていたため会場を全貌できていなかったのですが、挙手する人は(ほとんど or 全く)居なかったようです。確かに私も次がYAPCだとさすがに敷居が高いので、もしYAPCでやるなら数年後、地方.pmや地方OSCでスピーカーとして修行を積んだ後かな!と心の中で思いました。でもいつか立ってみたいYAPC::Asiaの壇上!

WEB+DB PRESS PerlHackersHubへの投稿→JobQueue。Perlコミュニティを盛り上げていこう!ぜひ北海道から、という締めのお言葉でした。

個人的なことですが、YAPC::Asia2010で「省サーバ運用」のセッションを聴講してから、私は@nekokakさんのファンになりました!懇親会等でも相談に乗っていただきましたが、著名な方と近距離で話せるHokkaido.pm、オススメです。

JPA++

@dont_cocoaさん「テスト駆動開発」

TDDのお話。

TDDBCというTDDについての勉強会?が札幌で行われた。@t_wadaさん主導、ペアプロ形式。

例としてwalk,say,stopの3メソッドを実装するPersonクラスを例に説明。実際に実装をしていく簡単な例は、あまりTDDのことを知らない(必要性は以前から感じていたけど)私みたいな人にとっては非常にありがたかったです。最初は必ず自明にFAILするテストコードを書いてそれをPASSするコードを実装していく、の繰り返し。

TDDをやってみて感じたことは、見通しの良いコードを書くようになったとのこと。確かにそうかも。

質問タイムで、異常系のテストへの対応と、VCSとのつながりについて話題に上がりました。注目されています。私の会社でも少しずつTDDを導入していきたいと思いました。

LT

  • @akiymさん「Base64を再実装する」
    高校生!Amon2にモジュールをコミットしたり、いくつかのプロダクトにpull-reqしている 。アクティブな方。
    Base64はイケてない!→アルファベットと数字→じゃぁひらがなで→Acme::Collector64→Japanese64と読んだらいいよ→ 秘密の暗号やふっかつのじゅもんにどうぞ→ひらがなじゃなくても魚へんの漢字でもできるよ(demo)→カッコイイ
  • @koji**さん「道具の要らないHello World」
    スライド無し、ノートパソコン無し。何も「武器」を持たず壇上に立つ姿はある意味かっこ良かった。
    perl -e ‘print “Hello world!”‘ と指で書く。ここから色々な要素を解説していく。Googleに頼らないでまずいじってみる。
  • @hirataraさん「ウヰスキーとPSGI」
    uWSGI=>ウィスキーと読む。面倒なので Plack::App::uWSGIを書いた。 デモでウェブサーバに接続してみる。
  • @techno_nekoさん「Perl meets beat」
    テクノ好き。 ハンドル名にもtechnoが入っているくらい。なので今回PerlでWAVファイルを生成してPerlでテクノを実践してみた→音がリズムよく鳴った→会場湧く→質問「それどのソフトで作った音ですか?」疑惑(ネタ)
  • @keroyonn_さん「Perl meets 次世代ゲームコンソール」
    iPhone/AndroidにはPerlの開発環境がない(SL4Aはあるけど…) →iPhone/Androidの数よりウェブサーバの数のほうが多い→圧倒的じゃないか!→デモであのマ◯オを動かす→会場湧く→実装は AnyEvent+TermKey+Curses→銭が欲しい→流通はCPANで無料配布して暇なサーバ監視員を堕落させる→堕落したサーバ監視員を監視するサービスを経営者に売る

その後

懇親会まで時間があったので、@techno_neko さんの疑惑を晴らすべく、数名の方が実際にGitHubにアップされているコードで実験。実際に音がなって疑惑解消。

懇親会

北海道ビール園(札幌ビール園ではない)でカニづくし。すごかった。北海道の美味しい食べ物が食べたい人はぜひHokkaido.pmへ来るといいと思います。

二次会

場所を移してまったり飲み。@onagataniさんが@nekokakさんにKamuiラブしていた。今ならAmon2じゃない?といった話の流れ、等々。

まとめ

Hokkaido.pm は初参加でしたが、レベルの高い話を聴講できたり、自分も初スピーカー体験ができたり、懇親会では有名人の方々と近い距離でお話ができたりと、とても楽しい体験ができました。

私自身は、その後五次会まで参加して、特に四次会では@aloelightさんとmod_perlについて熱心に語らせていただきました(一方的に熱が入ってしまいスミマセン…)。ずっとお会いしたかった@usa2jpさんとも二次会の後半から五次会までお話できて、とてもよい経験ができました。

あ、初トゥギャりしてみました「Hokkaido#5 まとめ」http://togetter.com/li/164058

以上、長文になってしまいましたが、Hokkaido.pm#5 参加レポートでした。ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。

最初の投稿

ブログ始めました。

(2013年11月注釈:現在はPosterousはサービスを終了しており、2013年11月現在は自分のサーバにWordPressを立ててそこでこのブログを運用しています)

社内や自宅内ではWikiやブログなどのナレッジツールを使い込んでいたのですが、なかなか外向きに公開するのに躊躇していました。ただ、今後いろいろ勉強会やカンファレンスに行って、そこで得た着想や感想を書いてみてもらう場所が欲しいなと思い、ブログを作ることにしました

日本のブログサイトを比較してみたのですが、もうよく分からなかったので、とりあえず Posterous を使ってみることにしました。Tumblrはリブログの印象が強かったし、WordPressのほうは会社でも使っていて新鮮味がないかなと。Posterous、薄味感が気にっていますhttp://xtetsuji.posterous.com/ でもアクセスできますが、せっかく持っている独自ドメイン http://post.tetsuji.jp/ でアクセスできるようにしてみたつもりです。「ブログサイトなんてどこも同じ」とは地獄のミサワ先生のお言葉ですが、まぁそうなのかもしれませんね。外にお引越しするときに、MT形式で出力できれば良い程度なのかなぁ。大抵は囲い込みなんかもあって、日本のブログサイトはMT形式での「出力」のほうには大体対応していないっぽいですね。当然でもありますが。

余裕があったら、自前でMovableType設定して独自にブログサイトを立ち上げるかもしれません。その時には、ここからも誘導できるようにします。

普段は Twitter で近況をだらだら流しています。@xtetsuji です。まとめて見ていただけるなら Twilog のほうが都合がいいかも。こちらもよろしくお願いします。